少女禁区 (角川ホラー文庫)/伴名 練
¥460Amazon.co.jp

【15歳の「私」の主人は、数百年に1度といわれる呪詛の才を持つ、驕慢な美少女。
「お前が私の玩具になれ。死ぬまで私を楽しませろ」
親殺しの噂もあるその少女は、彼のひとがたに釘を打ち、あらゆる呪詛を用いて、少年を玩具のように扱うが…!?
死をこえてなお「私」を縛りつけるものとは―。
哀切な痛みに満ちた、珠玉の2編を収録。
瑞々しい感性がえがきだす、死と少女たちの物語。第17回日本ホラー小説大賞短編賞受賞。】

好き!

■ 感想とか色々~

面白かったって言うか超絶自分好みだった!!!!

chocolate blood,biscuit hearts
大富豪の姉弟。
管理され監視された毎日を送る贅沢な日常を姉の鏑木夕乃視点で。
弟の名前は相馬。亡き父親の影に脅える。

「そう、あたしたちは焼き菓子。
煉獄のオーブンでほんのり焦げ目がつくまで炙られて、ショーケースの牢獄で、お客さんを待ち構えて、ひっそり、小さく縮こまっている。
胸がむかつくくらい甘くて、舌触りはしっとりと柔らかい。ひと齧りするだけで、じゅわっと、甘い液体が溢れて、舌から喉へ伝っていく。がらんどうの心を動かしているのは、きっと、チョコレートの血と、ビスケットの心臓なんだ」

冒頭。

駆け落ちみたいな逃避行。協力者の存在と爆弾テロ。
父親の影響、疑似体験、アブノーマルを要求されるビデオ。
るろうに剣心のさのすけの姉弟だった。強気なねーちゃんと怖がりの弟、しかしその実態は「あちらを立てればこちらが立たず、こちらを立てればあちらが立たず」。嫌いじゃない。
最後も込みで好き! 絶対的な父親への復讐心と自分に流れている血のお話。
いいなーいいなー


少女禁区

ルルル文庫(小学館)の封殺鬼のとーこさんかと思ったぜ。
とーこさんから、鬼2人と武見兄とミキさんと兄との思い出(優しさや人へ甘えることや感情的になることや許されること)を
ば っ さ り 引いた感じ。殺伐殺伐!
最初は「玩具」のお兄さんの最期が近いところから。
撫でさすっている手の指。逝くなら夏が良い。

実母と実父と継母殺しのうわさがある少女
何百年にひとりといわれる能力の持ち主
鬼と呼ばれ恐れられる12の子供

「三年前、生きている者で、この禁呪を遣えるのはわたし一人だった。多くの、古の技がそうであるように。自分の術で、自分の言葉の確かさを保証しようとしても、信じるものはいないだろう」

p155の「かちどきの狼煙をあげるための、薪にしたのだ。」やp160の「ただ、ここしばらくは、二つだけ、辛く思うことがありました。」も好きだ、可愛い!
それでも、玩具であろうと薪であろうと、あの子はあなたを選んだんだよ
のたうち、悪夢に見るような痛みでもって伝えようとしたんだよ
そういうのって、あれだよ、いいよね、すごく好き

釘食(くぎはみ)さまへの生贄や、少女の実母が語った「向こう側」のこと。
お守りの簪と釘、痛みによって語られていた言葉。
危うい賭け、賭けとも呼べないような確立での。偶然。
でも凄いな、ちゃんとつながった。つなげたんだ。
さすってる指はなんでしょう。も好きだったがな!!! 兄さん可愛すぎるだろう。

装画はシライシユウコさん!
どっかで見たことあるなと思ったら伊藤さんの『ハーモニー』の人だった。好きー!