神様のカルテ/夏川 草介
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【栗原一止は信州の小さな病院で働く、悲しむことが苦手な内科医である。ここでは常に医師が不足している。
専門ではない分野の診療をするのも日常茶飯事なら、睡眠を三日取れないことも日常茶飯事だ。
そんな栗原に、母校の医局から誘いの声がかかる。
大学に戻れば、休みも増え愛する妻と過ごす時間が増える。
最先端の医療を学ぶこともできる。
だが、大学病院や大病院に「手遅れ」と見放された患者たちと、精一杯向き合う医者がいてもいいのではないか。
悩む一止の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。
第十回小学館文庫小説賞受賞作。 】

よかったー!

■ 感想とか色々~

愛読書が夏目漱石の「草枕」なお医者さん。喋り方が独特でした。
山岳写真家の榛名さんが奥さんですが奥さんではなく「細君」!
細 君 !
あああもうなんだいいよね細君。細君いいよ細君。良人(おっと)も地味に好き。良い人って書いて夫ってなんかこう、じんわりくる。
優しいのかなー 栗原さんは優しくないが難病になったらこの人がいい!
死んだあと一秒でもいいから考えてくれるようなお医者さんがいい。
かなりの労働時間なんだけどさらっとこなしてるから流されそうになる。
3日間で3時間の睡眠て。

癒しの安曇さん(看護師にも医者にも丁寧なおばあちゃん)、それを訪ねてくる老紳士。昔、貧しい村で起きた盗みのこと。とっさの機転が素敵! 酔った天狗が庭先に迷い込んじゃったんだって。
腐れ縁の熊男・砂山さん(巨漢の外科医)と可愛い可愛い看護師の水無さん。なんとなく予想できたけどまさかの展開でした、ここエピソードなんかほしかった。
冷静でいつも頼りになる東西さん。
アル中と糖尿病。P101からの患者さんとのやり取りは笑った! 面白かったー! 患者さんに逆に注意されている栗原先生。
狸と狐の先生(見た目から)、海と山の先生(研修医でまだ海とも山とも知れないから)。
途中でどっか大学の医局行ったとき案内してくれた先生は「雲之上先生」です。時々ブラック。ブラックっていうよりはユーモアかも。

栗原さんが住んでいるのは御嶽荘。
二階の三つ目の部屋「桜の間」に住んでます。
真下は「桔梗の間」。住んでいるのは「男爵」。絵描きさん。
一階廊下、奥の部屋は「野菊の間」。住んでいるのはニーチェの研究をしている学士殿。
他にもたくさんいらっしゃるそうですが御嶽荘の住人で出てきたのはこの人達+榛名さん。
榛名さんも元々はここに住んでました。管理人さんと大家さん出てきててもちょろっと。

学士さんの門出を祝う桜と安曇さんの手紙のときはぼろっぼろに泣きましたよ。読んでたの夜でよかった! ベッドで良かった…!
手紙は反則手紙は反則手紙は反則。
文明堂のCMって子供の頃見たけど最近あまり見ない。猫っぽいのが手ぇつないで踊ってたような。
「それは我々のセリフですよ、先生。運ぶしか能のない旧式の救急車がいきなりドクターカーだ。ありがたい」(p119)も地味に来た。
能無しじゃないし。中の人頑張ってるし。鳴らしてるのにどかない奴はちょっと死ねばいいと思うし。
「最先端の治療」と「患者さんと向き合っての治療」。

榛名さんと栗原さんのやり取りも和む!
榛名さん可愛いよ榛名さん可愛いよ「浮気はいけません」だって患者さんのことばっかり考えてるから!(初っ端から1回目の結婚記念日忘れてるしね栗原さん!)
男爵と一緒に絵の具まみれて寝ちゃってるのも可愛かったー。
この人が出てくると栗原さんがどん底に落ちててもゆっくりすくい上げてくれてるみたいで安心して読める。そして和む。なにあの可愛い生き物。
もっと惚気ろ。
榛名さんと結婚する前の御嶽荘でのやり取りも可愛いよ。
冷静を装いながら胸中で号泣。

アマゾンで動画が張ってあって なんだこれー と思って見たら普通に宣伝でがっかりだった。わたしはあそこになにを求めたんだろう…(がっかりした自分にがっかりだよばーかばーか!)
この続編も読みたい! し、新作でも良い。好きだー。
24時間365日を掲げる小さな病院で働く、悲しむことが苦手なお医者さんの物語。

装画はカスヤナガトさん!

文庫版が出たのでぺたり。追記H23年6月18日

神様のカルテ (小学館文庫)/夏川 草介
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