狭間の広場
風の歌、星の口笛 (角川文庫 む 10-1)/村崎 友
¥620Amazon.co.jp

【横溝正史ミステリ大賞受賞作。前人未踏のトリックに挑んだ問題作!

遙か未来。
地質学者のジョー達は滅亡寸前の地球を再生するため、人工惑星<プシュケ>を目指していた。だが、到着してみると<プシュケ>は砂漠化し、すでに滅んでいた。
惑星滅亡に到る驚愕の真相とは?】

えー…………?

■ 感想とか色々~

視点は三つ。

地質学者のジョーと植物学者のクレイン。
地球を模倣した星、「プシュケ」の探索に片道250年かけてきた。地球存続の道を探るため。
しかし到着したプシュケは砂漠化し既に滅んでいる。
見つけた建物の中では、天井に張り付いた人間のミイラが出来上がっていて、というのがひとつめ。

家賃を滞納している探偵のトッドは事務所の上の階に住んでいる子供、ビビから「ブルーを動かしてくれ」という依頼を受ける。
ブルーはこの星の全てを管理している「マム」が作った命を持たないロペット。
飼い手が望む限り、また充電をしておけば死ぬこともない――はずだった。
ありえないことが起きた。風が止まり、異常な暑さが続き、死なないはずのロペットが死ぬ。

三つ目は「スウ」を探すセンマの話。
事故に遭って、退院をしてから、ずっと会っていなかった恋人に会いに行こうとする。
人生なにが起きるか解らないを体験したので、この際プロポーズを、と考えてのことだ。
なのにスウのお母さんはまだ小さな赤ん坊をスウだとし、自分の家族は以前付き合ってすぐに別れたベスのことを今の彼女だと思っている。
大学を訪ねても名簿に載っていないし、スウのことを知っている人間とも会えない。
僕の記憶が間違ってるの? スウは存在しないの?

うーん うーん えー……………… どこがトリック………?(それから訊くのか)
トッドさんはマムの管理に侵入するしジョーとクレインは重力に逆らってるミイラの謎を解こうとするしセンマの兄さんはスウを探すしで まあ、ああどっかで繋がるんだろうな、と思ってはいたけど、途中からどこでどう繋がるかは意外と解る。
記憶ピアスとか自転の速度とかプシュケの一日は地球の三日分とか遺伝子とか冷凍睡眠とかのお話でもあったけど……SFにしてもトリックにしても首を傾げる所が多かった。
詳しくないから解らない。詳しかったとしたら解るのかどうかも解らない。
うざったかったのはセンマの妹さんで こんな妹素で嫌だなー(笑顔) レベルで嫌でした。
クレイン博士とビビのお母さんは女性って感じがしないからよかったけどねー。マムがリアルに解らない(笑) この人なんだろう…。
選評には女性蔑視と書いてあったけど……あー、まあ下らないなあ、とは思ったけど、でもどちらにしても滅んでたんでしょ? それとも自転まで管理してたと?
怒るとしたら自分で眠りについたくせに、会いに来てくれなかったことを嘆く件かな。会えないだろうことを選択した姉さんが嘆くのは卑怯だよ(笑)
会えなくなることを強制されたお兄さんの方にこそ同情するわ。
ジョーの歌とか……ジョーなのに……日系…? あれでもベスは紛うことなき英語圏だな。解らん。
ちなみにビビが死んでトッドが生き延びた理由が解らない。精神的な所かな。記憶ピアスを弄るにしても別の記憶まで植えつけるとは。さすが政府。

萎えるなー っていうのは横溝正史ミステリ大賞史上、最大級のトリック!とかね。(角川出版/文庫)
というか問題作ってなに問題作って。
毎回毎回“史上”とか“最大級”とかお忙しいですね と思ってます。
死なないはずのロペットにしろ、受け継がれた遺伝子にしろ(しかし地質って畑違いすぎやしないか)要素としては面白くなりそうだったのに、詰め込んだら焦点ズレて あ、そう で終わっちゃった。

装画は影山徹さん!
だって星の名前がプシュケだったんだもん。(多分8割くらいこれ)(といっても期待をする・しないではないです。)(あ、と思ったの)
あと紫色好きだから。魔女の色っぽくて。