風の歌 星の道〈前〉 (角川文庫―スニーカー文庫)/冴木 忍
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【大陸に七つの王国が存在した時代。その中のひとつ、リドルフィ王国。
その国を支配するフィンレック王家は「神秘の力を持つ一族」といわれていた…。
盗賊ソードは、育ての親ハラルドを救出するため、単身王宮へと忍び込んだ。そこで出逢った、ちょっとかわった女の子。
なんと、フィンレック王家のレティシア王女だったから、さあ大変。
おまけに国王の命令で、ソードはレティシアの「義務」のお供を強制され、旅に出かけるはめになってしまうのだが…。スニーカー文庫初登場。
コミカル新ファンタジー、前編。 】

大っ嫌い(笑)
気分悪くなりたくない人、好きな人はご注意をー!

■ 感想とか色々~

困るほどには盗まず、人は殺さず、女を巻き込まない、善良な盗賊・ソードは、育て親のハラルドが忍び込んだまま帰ってこないフィンレック王家へ単身忍び込んだ。
疾風のソードの異名を取る気の毒なお兄さんが出会ったのは、妖魔を呼び寄せ親しむ頭の配線がずれているような女の子。
羽で飛ぶ子豚には噛み付かれるわ化け物ナメクジに自分の名前を使われるわ挙句に護衛? 借金返済? なんで俺が! とぶちぶち文句を言いながら旅に出るはめに。
人質はハラルド。首輪は最高機密。ソードの兄貴分、ベイリュール。

もうなにが嫌いって首輪ですよ首輪!
最高機密云々以前に首輪自体が大嫌い! 孫悟空のあの頭の輪も嫌い!
語彙が貧困で申し訳ないんですが 素で あんた、何様? と思った。
だったら殺せ。と思う。暴力はいけません、と言っておきながら、呪文を唱えて強制的にするのなら。
これの嫌悪感というか「ざけんじゃねえよ」の前にはレティシアの大分緩い頭もスルーするくらいだよ(笑)
(「お人好し」や「優しい」、「好奇心旺盛」と表現できる(されている)大体の人は嫌い。)
権力者の「お願い」は脅迫だよ(笑) なんでそんなことも解らないで王族やってんの。なんで誰も教えてないの。黒獅子の異名は好きだがなー。

全体的に易かったかな。RPGを文章にしているみたい。ゲームみたいにさくさく進む。
強面の仲間増える所とか、それがちょっと柔らかくなる所とか、幼いソードのヒーロー、ベイリュールの扱いとか。
解りやすいっちゃ解りやすいし、解りやすいと表現されるものと、してきたもの全てが詰まらなかったわけじゃないが、今更1+1の答えが2ですよって言われても困るんだ。
(なんで1+1が2になるの?(1ってなに?) って数学的にではなく考えるとしたら別だけど)
予想できるんだよなあ……天使天使煩いんですよね、天使みたいな外見だったら可愛いものは好きだから楽しいんだろうけど、天使みたいな中身って天使読みたくて物語読んでるんじゃないもん。
変わるのなら変わるでいいよ、多くの人は変わるだろう、人の中にある何某かは変わるだろう、変わらないかもしれないが対外的な変化まで自分じゃあ解んねぇよ。
他人から信用されることで変わることは多いけど、その人の内面を、変化の過程を書かないのなら、それは「どこにでもある」物語か「どっかで読んだ」物語だ。

ベイリュールもそう。
10年前のソードが知っているベイリュールはもういないかもしれないが、あんたの知らないベイリュールはそこから10年、生きていた。
知ろうとしなかった関わらなかった遠くで見つめることすらせず離れたお前が、変わったことを嘆くのは卑怯だ。
だったら、最初から、全部、きっちりと、殺せ。
ああもうむかつく……そういう意味では殺すと明言したベイリュールは嫌いじゃない。

綺麗事でソードの精神が保たれるというのなら、それはそれでいいんだ。
盗賊は物を盗むんでしょ。人を殺すのが盗賊じゃないでしょ。人を殺さない盗賊がいることだってあらあな。だったら人を殺す盗賊がいることだってあるだろよ。
(10年間追いかけもせず探しもせず、理由を調べないまま、それでも、相手が10年前と同じ姿でいるとでも思ったか)(……思ったんだろうなあ)

暗殺者とか胡散臭い隊長とか出てきますが一応前後編なので旅は続く。
薄いし軽いので1時間ちょいで終わりました。

イラストレーターは弘司さん!