マイ・ブルー・ヘブン―東京バンドワゴン/小路 幸也
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【国家の未来に関わる重要な文書が入った“箱”を父親から託され、GHQを始め大きな敵に身を追われるはめになった、子爵の娘・咲智子。混血の貿易商・ジョー、華麗な歌姫・マリア、和装の元軍人・十郎、そして、がらっぱちだけれど優しい青年・勘一にかくまわれ、敵に連れ去られた両親の行方と“箱”の謎を探る、興奮と感動の番外編。 】

うー…………。

■ 感想とか色々~

東京バンドワゴン番外編、本編では視点である亡き「サチ」さんと勘一(おじいちゃん)のお話~。
GHQ占領下のとき。天皇と親しい子爵家の愛娘と、キングズ・イングリッシュを流暢に話す古本屋の跡取り。
開けてはいけない「箱」にマッカーサーのライバル、それぞれの親の問題も含めての、……まあ端的に言うなら馴れ初め話。
本編では確か最低でも1回は名前出てきたと思うんだあ。ジョーの名前に聞き覚えが。
十郎さんは解らないけどねえ。着流し似合う人はかっこいい。

基本的にそんなにシリアスではない…です。
なんだかんだいって最強勢力というか、かずみちゃんも決して弱くはないし、味方のほとんどが英語話せるって素晴らしいと思うよ(笑)
(クィーンとキングズは 発音の綺麗な英語 だと思ってます…。聞き取りやすい英語。ニュアンスとしてはあながち外れでもないが回答として正しくない、くらいだと思う。)
いやあ、勘一の話す言葉読みながら、随分日本的だからこれ英語にしたらどんな文になるんだろう、と思った。

ジョーとマリアさんの親と子の問題でもあったねえ。
ジョーが泣いたっていうのはそれでいいんだけど。易いのでなければ泣く人は好きよ。
マリアは……まあ許すだろうなと思った。お母さんはいいのかな? とも。
どうもねえ 「許す」というのが根本的に好きではないんだ。
好きな許し方もあるし、ゾクゾクしたこともあるけど。許さないと意識して許さないと言葉にして許さないのなら、もうお前許すなよ、と思う。100歩譲って(わたしが譲るもなにもないんだけど)許すのならそれはそれでいい、それを前提に、じゃあ「許さない」としたかつての自分になんて言う? と思う。まあ思ったってどうにもなりゃしないんだけど(笑)
(そもそも、本編のいつだったかで、社長さん(青年実業家。本を読んでレポート書いてくる爽やか系お兄さん)に殺させなかったんだから、まあ方向性も解るってもんで。諸手をあげて殺人を推奨するわけではないですが)

ご都合主義、と見下して言うほど都合よくないかもしれないが、まあ大分味方に有利ね(笑)
勘一からしてのおじいちゃん(草平さんのお父さん)はどんな人だったのか。
草平さんの若かりし頃も見てみたい。ああ、戦時中になっちゃうのかな?
戦争を二度と起こしてはならない、とただするよりも、戦争を二度と起こしてはならないと伝え継ぐべきほどの、なにが起こったのかだけでも教えてほしかったかな。


我南人も最後の最後で出てきます。
芸術はこの子に受け継がれたか。自由な人だもんねえ。
藍、紺、蒼だった理由。南の国に行きたかった ってお父さん(笑)(しかし「南の島の大王は~」がでてきた自分もどうかと思う)

まあホームタウンのような。帰る場所。帰れる場所。迎えてくれる人。家族と茶の間。サチさんは相変わらず読み心地のいい敬語を使うねえ。優しく聞こえる敬語っていいなあ。
1巻の文庫は買ったしこの4巻も読んだけど、次はどうするかなあ、と悩み中。出た直後には読まないかも。思い出したときに図書館で借りてぽっと読む、くらいかな。長編一本だったので読みやすかった。
作者読みー。(HEARTBEATとカレンダーボーイの文庫化希望ー)

装画はアンドーヒロミさん!