ジハード〈2〉こぼれゆく者のヤーファ (集英社文庫)/定金 伸治
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【1191年初秋。
アッカを占領した第三次十字軍は聖都イェルサレムを目指して、イスラム世界を蹂躪しつつ進軍を続けていた。
そして、要衝の城市ヤーファをめぐって両軍は激突し、ついにリチャード獅子心王の軍勢が王者サラディン本隊に肉迫する。サラディン危うし―――。
このイスラム軍の危機を回避すべく、ヴァレリーは捨て身の作戦に打って出るのだが…。
手に汗握る超大型歴史エンタテインメント第二弾。 】


お 兄 さ ん !!

■ 感想とか色々~

解ったもうわたしアーディルの心配しない!とぎゃーぎゃー騒ぎたくなりました(笑)
心配したのはわたしの勝手なんだが、ひょっこり無事な顔を出されると理不尽に怒りたくなる。怒ってないけども!
昼寝でもしてて時々姫さんに追い掛け回されてれば良い。
まあそういう訳にも行かないのが時勢かつストーリーかつ置かれた状況なので、またもや九死に一生レベルでのお話。

ギュネメー意外にあっさり死んだなあ。弁慶か。
妹さんはいつ泣くんだろ。ずっと泣かないのかな。
ライオンのお兄さんはあなたどれだけ政治が嫌いなのー、と楽しくなるくらいでした。
凄いなあ。よっぽど部下が良かったのか制度が確立していたか。どっかで誰かやなにかが優秀だった、とは思うが。
徴兵するだけでもある程度国民にしわ寄せは行くと思うがそこら辺どうなんだろ。
というかこの王さんはどうして王冠なんか被ったんだろ。

エルシードとアーディルそれぞれの“求心力”は面白かった!
「一度くらい死んでみてもいいかな」って兄さん方!!(笑) と思った。
いいなあ、凄いなあ、一度くらいかあ。
一回くらい死んでみても良いと思える人は良いな。大好き。
そらま、兄さんと姫さんの魅力は違いますもん。と思わず思った。姫さん良いなー。
怒れる体力というのは素晴らしいと思う。
良かれ悪しかれ感情を長く持続するのも剥き出しにするのも疲れる。
途中で捕まったアーディル兄さんを追いかけてラスカリスとルイセが別行動、アル=カーミルとシャラザードもテンション低め。

ああそうか、否定しないのね、と思った。受け入れた後に抗いはするが、一回は信じる。信じたあとに否定するだけの精神力がないときにつけこまれると途端に不安定になる。
男も女も嫌いなくせに、人は信じるのね、と思ったらもう可愛くて可愛くて。
二人でいなければ立てない天才は怖いけど足し算じゃなくて掛け算になれば素敵。
アル=カーミルが怒った、というのが可愛くてよかった。シャラザードとエルシードも可愛かった。「だってだって……!」て。
あと思っていたよりもアーディルがエルシードの昔話を知っていたことに驚いた。

ライオンの妹のアリエノールが登場。一目惚れですか姉さん。
妻くらいじゃ驚かない。もうとりあえずアーディルとエルシードは生きていてくれればいい。
姫さんのために動いてくれんのは嬉しいがな、それを姫さんが喜ぶかどうかわたしは知らん。
足の治療を受けながらシャラザードにさめざめと説教されてアル=カーミルの無言の責めと姫さんの怒声を聞けばいい。
生きないのも甘えるのもどっかで野たれ死ぬのもそれはアーディル兄さんの自由だが、そのあとどうなるか考えた上できっりち死んでね、と思うあたりどうかと思う。
死にたがりの救われたがり。逆だった従者と主人。ふぅん。姫さんは模範となるべきものを昔に縋ったのかな、とも思ったり。(“自分”を形作るものの多くを失ったから)

イラスト:高橋常政さん、デザイン:岡邦彦さん


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