彼は残業だったので (カッパ・ノベルス)/松尾詩朗
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【情報処理会社に勤める中井は、残業中、魔術の本を読みふけっていたら、オフィスのオートロックがかかり、閉じ込められてしまった。
時間をもてあました彼は、“憎い相手を呪い殺す”呪術を試してみることに…。
日頃、憎らしく思っている同僚野村裕美子と佐藤輝明の人形を厚紙でつくり、火をつけた!
二人は前日から無断欠勤していたが、はたして三日後、佐藤の部屋から男女の焼死体が発見された。
二つの死体は、バラバラに切断され、あやつり人形のように木の枝で連結されていた。
犯人は何のために、死体にこのような細工をしたのか。 】
え なに結局魔術関係ないの?
■ 感想とか色々~
出だしがぐちぐちうっさい兄ちゃんだなあ と思った。
60ページくらいで語り手が変わってくれたからよかったー。
写真家の門倉さん視点。この人は好き!
奥さん大切にしてくれるのもそうだけど 意外に臆せず動いていたり考えていたので安心して読めた。
最初出てきてあとはほっとんど出てこない中井さんは「この人 結局なにをしたかったの?」と思うんだけども。
焦点はこの人の魔術云々ではなくホラーでもなく 野村裕美子さんと旦那さんとのお話でした。
佐藤さんとその彼女さんは見事に巻き込まれたなあ。
かつて劇団にいたときの知り合いからされた頼まれ事。妹を探してほしい。
周りからは嫌われていたが連絡を取り続けていた立花。
立花さんは……数学の件が面白かった。面白さが第一の所。
小さい所に夢中になって物事を大きく見ないとこ。
不妊治療のお話でもあったかな。
それでも「惚れた女と一緒に暮らしていてなにが不服か」な所は嬉しかったよー、思わずみどりさん(奥さん)見る目あるな! と思ったもん。
推理モノとしては順当に。
特別度肝を抜かされた所もないし、まあ「え、魔術は…?」な所とか繰り返しが多かったところもまあいいとして。
枝だけで解っちゃう立花さんは凄いと思うが。未亡人はいつだったか辞書を引いて驚いた記憶が。あれ蔑称なんですよね、そういや男の人には使わないなあと思って調べたんだと思う。
結局どっちであるかなんて解らねえしな。
犯人が解ったという意味ではすっきりしたけど、全体としては最後にまたまた出てきた中井さんの背中に哀愁が漂ってると思う。侘しい人だ。
カバーデザインは本間公俊さん!
今回にしてカッパノベルスの意味を知った。姉妹とかあったんですねー…。