月蝕姫のキス (ミステリーYA!)/芦辺 拓
¥1,470Amazon.co.jp

【高校生の暮林少年は、なにごとも論理的に考えぬかないと気がすまないというやっかいな性格の持ち主だ。
まるで、かの名探偵エラリー・クイーンのように。
ある日、学校の近くで起こった奇妙な殺人事件。
偶然巻き込まれてしまった暮林少年は、考えに考えるうちに恐ろしい事実に気づく。
クラスメートのあの子が犯人だとすれば、すべてのつじつまが合うということに。
しかし、静かな町を揺るがすさらなる事件が起きる…。
本格的な謎解きの要素に満ちた叙情あふれるミステリー。 】

気分悪くなりたくない人と好きな人は回れ右でお願いしますー。



■ 感想とか色々~

妄想或いはお芝居。よく解らないお話でした。
突っ込み所ありすぎてたくさんの安い死以上に「ええー……」な所が。

本格的な謎解きにファンタジーは入らないと思うんだ。
超常現象とかESP込みで推理しろってのか。
警察がビデオテープ見せるというのもただそれだけなら違和感ないが、
ロッカー開けて真っ向から銃弾食らった人間の死に際(撃たれてから少し動いた)を眼前でみた人間に、その日のうちに監視カメラで撮られていたビデオテープって見せるんだあ…。へえ……。
ドラマでも良くあるけど目撃者に「この人ですか?」って写真見せるのって意味あんのかなーと思ったり。(人ってそこまで他人の顔見てるものか)

文章自体にも違和感――というかイライラしちゃって、表現が二文連続で重複して、会話が芝居っぽく、なによりも主人公が素で気持ち悪い。
ストーカー!? ナチュラルにストーカー!? と思った主人公って初めてじゃないかな。
独り善がりな部分が多かった。
主人公にとっての「裏切り」はわたしにとっての「裏切り」じゃないのを筆頭に。まあ言ってしまえば物事の捉え方と価値観の相違。
それらを捻じ伏せるとしても、甘ったれてんじゃねえよ、と思っちゃったりねー。違うのは当たり前だし違っていないのも当たり前で、前者だとしてもその発想自体が面白ければ構わないし、後者だとすればそこに落ち着くまでの過程が面白いといい。
しゃきしゃき喋るときもあれば、そのぅ、あのぅ、と言いよどんでいた所もあったり。

途中で入るお伽噺もとい昔語りは、ああうんまあ実例は知らないがあるだろうなあ、と思いました。
最新技術を取り入れない理由、凝り固まった「利益重視」。
わたしが言うのもどうかと思うが、可笑しいものを可笑しいと、間違っているものを間違ってると言えることは、それだけでかなり恵まれているんじゃないかな。

高校生の一体何割が「阿諛追従」と言う言葉を知ってるんだろ。
そして知っていたとしても実際会話文で使うか。
語彙が豊富であることと、人間性が優れていることはまた別の話。
文章うろちょろしてるからアンバランス。ギャフンとか古い古い。
わたしこんな高校生嫌だ。

装画は福井利佐さん。
理論社さん(=児童文学のイメージ)なのにタイトルといい表紙といい
おお? だったので読んでみました。他に本の表紙やらないかな…。
ある意味タイトルの通り。