狭間の広場
沙漠の国の物語~眠れる望楼 (小学館ルルル文庫 く 1-6)/倉吹 ともえ

いわく付きの塔をめぐる殺人事件に巻き込まれたラビサとジゼットだが…!?
新年を間近に控えたタラスファルでは、隊商都市マンナへ名産の織物を売りにいくことになった。
ラビサは織物の評判を聞きに、ジゼットは沙漠を騒がす盗賊団「砂嵐の後継者」の情報も手に入れようと向かったマンナだったが、町はずれにあるいわく付きの塔をめぐる殺人事件に巻き込まれることに。
そして塔の真相を探るうち、2人は互いに強く想い合うようになり……!
沙漠が舞台のドラマチックファンタジー! 】


ラビサとジゼット大好き!

● 登場人物

ラビサ
太陽色の髪と目を持つ16歳の女の子。
少年ぽい服装がデフォルト。喋り方も同じく。
シムシム(種子)の使者として砂嵐の町・タラスファルへその罪(冤罪)から解放した。
宝物はジゼットからもらったペンダント。(可愛い…)
ジンに好かれるが見えない。

ジゼット
剣の達人な19歳。同じ目的の仲間を、手段の相違により手にかけたことがある黒髪黒目。
初対面の人間を遠慮なく警戒し、あんまり綺麗事を信じもしなければ言いもしない人。
タラスファルが故郷。サソリが苦手。ジンは見えるだけ。

アリヤ
ジンを呼べるほど綺麗な歌声を持つ14歳の少年。
水面に咲く花(3巻)初登場。
ラビサ命のわがまま美少年。前巻疎ましかったけど今回はセーフ。

リードゥ
「星詠みの徒」の正巫女。星のしるべ(4巻)が初登場。
目は見えないが先見の力を持つ謎の多い少女。
この子はラビサとジゼット、光と闇について根本的に可愛い間違いをしている。と、思う。


■ 感想とか色々~

ラビサはタラスファルの女性達が頑張って織った物の評判を聞きに、
ジゼットは自身がかつて所属していた盗賊「砂嵐旅団」の名前の一部を使っている「砂嵐の後継者」の情報収集に、と目的は違えど共にマンナへ向かう。
後継者関連は結局噂の域を出ないものばかりだったけれど、ラビサの目的になにやら不穏な影が。
注文を受けて織ったものなのにお客さんから断りの電話が入ってしまって、「気に入ってくれるかどうか見てきてほしい」という織り手との約束を破りたくないラビサは直談判に…というお話。

まあ酷いこと言っちゃえば「商売でしょ?」なんだけどラビサはそんなことふっ飛ばして「一度でいいから品物を見てほしい」と曰く付きの場所へ。
リードゥの正巫女としての立場や、アリヤの行方不明の姉探し、
情報収集に使う人脈、過去の冤罪。


もう可愛いすぎて転がる……!
初っ端からジゼットの「多分濡れ衣だ。俺はどちらかというと段階を踏むタイプだと言っておいてくれ」で転がった。(P38) 転がるだろー(笑)
話としてはミステリー風味で正直そこまで期待してなかったんだけど地雷と言うほど酷いものでもなかったので一安心。
話の一要素なのは解ってるんだけど「そんな簡単でいいの!?」と思っちゃうとどうしようもなくなるのはわたしだけか。いや、どうしようともしてないので申し訳ないんだが。

たったか進む根本はラビサの「約束を守りたい」なんですが……なんかな、綺麗なだけじゃないからこのシリーズ全体としても、このお話単体としても、安心して読める。
女の子天真爛漫、男の子疑心暗鬼、全く構わないんだけど、少しは汚い部分を見てね、というのがある。
目を反らさずに。それ込みでの美しさを、ね。頭から爪先まで全部お綺麗だったら拒絶反応。
人のどうしようもなさだとか、愚かさだとか、「もうお前いい加減にしろよ」だったり「どうしてそうするのかなあ」だったり、ああわたし、そういうの凄い好きだなあ。
汚さは全部ジゼットが被っているように見えるし事実被ってるんだけどね、ラビサも知らないわけじゃない。
知っていて、だけど目を反らさずに真っ向から対立した。
「間違ってる」と糾弾することが、時には間違いとなることを知っていそうだな、と思うくらい信用してる。
誰が悪くなくても湧き出てくる反発心や恨みを持つ人を否定しない。
それら全部飲み込んで綺麗なの。


いえまあそういうの抜きにしても2人の可愛さには読んでて砂吐く!
アリヤも今回は身を潜めてくれたので思う存分ツーショットが見れました。
P128のひとまず落ち着いてみるからの三行がすげえ好きだ…!
こういう所あるからラビサ大好き。
ジゼットもよくやってると思うよ。天然。
この人はラビサと喋ってたりラビサが関わると途端に無邪気になるか、物凄く怖くなるかのどちらかで、今回はひたすら一緒にきゃっきゃと賑やかでした。ああもう一生じゃれ合っててくれ。
闇が――闇、という単語が既に嫌いなんだけど――もし光を飲み込もうとするとしたらね、他から守るときだけだと思うんだ。
光を潰すために覆うことは、ないと思う。
引きずり込まないようにあれだけ気ぃ配ってんだから。

お父さんと娘、おじいちゃんと孫のお話だったかなあ。
あとは罪に対する意識。
仲間を殺したことのあるジゼットの受け入れ方。
リードゥ関連で怪しい人ご登場。

続刊早く読みたーい。
と思ったら作者さんの中では既に折り返し地点だそうで…うわああ。

イラストレーターは片桐郁美さん!
ぐっじょぶ……!!(万感を込めて) なんだこの素敵っぷり!
コメントつけたい挿絵ばかりで!
アリヤも可愛い(まるほっぺ!)寝ぼけてるラビサも可愛い。
並んで坐ってるところ(なにあの空気!!)とか顔崩れてるのとかリードゥのシリアスとかとかとか……いや一番はハグシーンだがな!
もう本当…ありがとうございます……!
警戒しているジゼットかっこいい よ!
250の後ろからって…段階踏むって言ったのに…(笑)

あ、表紙でのツーショットは1巻ぶりだ!


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→(4巻の感想