レヴォリューション No.3 (角川文庫 か 50-2)/金城 一紀
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【オチコボレ高校に通う「僕」たちは、三年生を迎えた今年、とある作戦に頭を悩ませていた。
厳重な監視のうえ、強面のヤツらまでもががっちりガードする、お嬢様女子高の文化祭への突入が、その課題だ。 】



   毛沢東の肖像を掲げたって
   世界は変えられないよ

          ―――ザ・ビートルズ


   ギョウザ大好き!

          ―――ザ・ゾンビーズ



君たち、世界を変えてみたくないか?

始まりは カリキュラムを無視し遺伝子について訥々と話す教師
ドクター・モローの一言。
ケータイ、カラオケ、巨人軍嫌いで結ばれた硬派な連中が集まった。
お嬢様女子学校への文化祭突入も三年目、
これまで通りでは突破できないような分厚い警備が敷かれていて―――。



いやあもう、笑った!
男子校特有の下ネタはまあ覚悟していたのですが
それでも会話分だけでなく地の文も笑える…!
初っ端から表情筋が困ります。

それ以来、僕の高校では、
「やむをえない場合を除いて聖和の生徒の半径五メートル以内に近寄ってはいけない」
というアメリカのセクハラ訴訟の判決みたいなお達しが出るようになった。


不憫の一言! しかしそこでへこたれないのが彼らです。
表題作 レヴォリューションNO.3は文化祭突入までのお話でした。
三回目の挑戦のタイトルなどは「目的忘れてる忘れてる!」と大笑い。
しかしその矛盾さは凄く好きだ。
そこに敵がいるなら戦いに行く みたいなのがかっこいい。
逃げたら恥だぞお前ら! 的な。そしてやることもやることだ!
唯一参加できなかったザ・ゾンビーズ、ヒロシへの花火。
文化祭とその後に関するものの中で、たったひとつ真面目な場面。

盛り上がる所まで盛り上がってずどんと落とされた感じ。


文化祭後、28組のカップルができました!
というわけで「ラン、ボーイズ、ラン」
三ヵ月後。僕が見る悪夢と、萎える理由。
ちょっと待って彼女! 振るの勿体無いよ!!
と思ったら無事着陸してくれたようでなによりです。
ヒロシの墓参り。場所は沖縄。高校卒業間近、最後のザ・ゾンビーズ。
稼いだお金と取り返したお金と、招いた人達。
やることでけー! そりゃもう飛びつくわ。一組でも多く続けばいいな。


中学の卒業式ヤクザが花束を持って迎えに来るほどの武闘派・舜臣(すんしん)
学校で有料の相談所を開いていた情報屋兼仲介人 アギー
史上最弱のヒキを持つ男・山下

「王」という言葉にうっとりしちゃう彼らが物凄く可愛い…。
「かっこいい」のはそれだけでアコガレます。



最後はがらりと変わってストーカー退治、ミステリ風味の「異教徒たちの踊り」
ヒロシがいるよ…! 生きてるよ! とそれだけで嬉しくなりました。痛くもありましたが。
あれ、この視点って大学進学の子ではないですよね。
ザ・ゾンビーズ vs ストーカー。
いえむしろスンシンとアギーですがなんでこいつらこんなカッコいいんだ。

「俺だ。ちょっとやばいことになってる。いますぐに来てくれよ」
「どれぐらいやばい?」
「殺されかけた」
「分かった。行くよ」

漢と書いておとこと読むを体現された感じ。
ちなみにこのとき「殺されかけた」傷は、首をぐるっと一周する紐の痕。
≪首輪≫。
そして笑いも忘れないという…。サングラスは素敵でした。
彼氏さんはまあ気の毒な人でしたが、スンシンの方がカッコいいもんねー。
よほど特殊でなければ、現行犯でストーカーを捕まえる方法なんて教わるもんか。

タイトルはヒロシの昔話です。
この子の言葉でレヴォリューションNO.3は終わりました。
NO.3ということは他の作品もあるのかな…。



また、最後になりましたがこの作品はlunaleclipseさんにご紹介頂き、手に取りました。
コメントを頂いてから日にちが経ってしまいましたが 野口さん笑いが乱発の1冊でした。
大した御礼もできないのが心苦しいです…。ありがとうございます…!