イレギュラー/三羽 省吾
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【村が水害にあい、グラウンドも使えず練習もままならないニナ高野球部。
素質は全国レベル、態度ならメジャーレベルの剛速球投手コーキもその素質をくすぶらせ、ナンパやケンカ三昧の日々。
そんな蜷高に、恰好の練習相手として目を付けたのは名門野球部Ｋだった。
だが両校は合同練習初日に衝突する。
自分の球に絶大な自身を持つコーキはＫ高野球部に勝負を挑むが…。
『太陽がイッパイいっぱい』『厭世フレーバー』の三羽省吾が描く
ダメダメ野球部のむやみに熱い青春ストーリー登場。 】
最も忘れてはならないことは、
イレギュラーではボールデッドにならないということ。
いやもういいよ、どうしようかってくらい素敵だよ！
グラウンドを探している蜷高野球部。
新しい顧問の下で大成長をしたＫ高野球部。
名門野球部Ｋの顧問が高校で野球をやっていたときの顧問が、
蜷高野球部の現顧問であり恩師だった という繋がりから、
やる気あるんだかないんだかの夏が始まる。
実力はあるくせにすーぐフラフラして
頭に血が上るの早くて意地っ張りで真っ直ぐ。
認めるのが悔しくて 頼らざるを得ないのがもどかしくて
泣くくらい一生懸命にならないようにしていた。
ざっと登場人物
四番バッターで太っているモウ。
マネージャーの琴子。
蜷高野球部顧問の大木。
名門野球部のバッテリーは冷静な矢中と直情傾向にある狭間。
こちらの顧問は結城。
ペヤング、生活が苦しい神原、お好み焼きのトシやん、キンタとギンジ。
大人陣があだ名で呼ばれているのが無性に好き。
前半はコーキがバッテリーの瑞垣さんに見えました。
途中からはまた変わりましたが、結局はこのお兄さんが拗ねてたのかな。
どこにでもいる普通の男の子で、だけどなんていうのかな、
持ち味というか個性というか。纏めさせてくれない人でした。
一緒に居たら凄い面白そう。
やること自体は予想がつくんだけど、やり始めるのを見たら参加したくなる。
ああいうのってやっちゃったもん勝ちですよね。混ざりたい。
１番気に入ったのは、地の文レベルで笑えるところ。
後半に行けば行くほど野口さん笑いが登場します。危ない人になる！
「待て、ちっとも簡単じゃねぇ。どんな女子高校生だよ、お前は。
そんな小難しい本を子供に読み聞かせて、革命でも起こす気か？」
「待て待て、巻き戻せ」
「テキサスだ、キャシー中島のダンナ……」
ここら辺は前半。会話文。
ｐ２４３の「二人ともガッチガチだった。」はその前の会話から噴き出しました。
もうだめ笑う、夜中に読んでよかった…！
（だって顧問とマネージャーの試合中の会話が勝負パンツについてってどーよ！（笑））
蜷高校の試合始まるとほとんど笑いっぱなし。
どんちゃん…どんちゃん頑張れ…！と応援したくなること必至です。
「待て待て～」、「的確に指摘」も素敵でしたが
「しかも、偽者」は野口さん大安売り状態で登場ですよ。分身の勢い。
狭間の表情対策は爆笑でした。すげえよ蜷高も！ どんだけ運がいいんだ！
なんかもういいよ君ら色々ぶっ飛んでて！！
琴子さんもいい味出してたしな～！
最初は動いている人数が多くて解らない所もあったんですが
後半行くに連れてそれぞれ個性が出てきます。
監督よりも選手よりも野球に詳しいマネージャー。
なんて心強い！ 大好きだ！
どれだけ無茶なことをやっていても、コーキの元に集まる。
アルティメット・ファクターのリボーみたい。そこにいるだけで明るくなる。
こいつに任せて負けたらしゃーねーよな、という感じかな。
絶対に勝てると思ってるわけじゃない所が余計に好き。
真面目な所では、水害にあった村の世間的な扱いと、高校生を拝む老人達
あ、と思いました。特に後者は、ああそうだよなあ、と納得しました。
賞状よりも食べるもの、というのが切実だし、
それを見ての狭間のリアクションもよかった。
無力であることを理解した上での行動、かな。
やけっぱちになってるのがコーキですよね。
この人もこの人で憎めない人なんですが、狭間は本当に真っ直ぐでした。
でも多分、一度曲げられたことのある真っ直ぐ。
あとシリアスだとしたら、スキャンダル目当てのライター・埴生田さん。
ネットでの誹謗中傷、しかし事実なところ。
恋愛もあるにはありますが、中心ではないかな？
まあでも、邪魔にならず出しゃばらず高校生らしく、
いい具合にハマっていたかなと思います。
結城を好きな女子高校生が可愛かったです。５００系と７００系も（笑）
こういう言葉の使い方は石田衣良さんのＩＷＧＰに似てるのかな、
さっと例えてすっと入る、しかも「くっ」って笑っちゃうような。
早く文庫化しないかな！
表紙も素敵ですよね、逆な所がまたいい。
文庫化した！！
文庫版が出たのでぺたり。追記Ｈ２２年７月２９日
イレギュラー (角川文庫)/三羽 省吾
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