天顕祭 (New COMICS)/白井弓子
¥924Amazon.co.jp
【2007年文化庁メディア芸術祭マンガ部門で初の同人誌受賞作品。
ヤマタノオロチ伝説の息づく未来。
50年に1度の秘祭<天顕祭>の日が近づいていた。
咲は身を隠し、声を潜めてオロチの魔手から必死に逃れようとしていた。
鳶の若頭・真中はそうとは知らず咲を雇い入れる。
身の廻りで起こる異変…。
そしてある日、忽然と消える咲…。
運命にひきずられるように真中は、
やがて天顕祭のおぞましい秘密に触れる―――。
圧倒的独創力と心揺さぶる画筆で描ききった冒険ロマンファンタジー。
運命から逃れる女、運命に立ち向かう男。
ふたりの淡く激しい恋が<天顕祭>の宿命を変える!】
過去にあった「汚い戦争」で「フカシ」と呼ばれる汚染が広がった。
しかしそれ以外は全く普通の日本人達がわさわさ動いていて
お祭りに捧げる人を模した人形を買ったり
主人公の真中&咲は鳶の仕事に従事していたりで
どちらかというと“もうひとつの日本”、平行世界っぽかったです。
広島? 長崎? と迷ったんですが詳しい地名は出てこない。
“祭”の通りこの話に大きく関わってくるのは神様で、もっと言うと日本神話。
個人名をあげるなら八岐大蛇とスサノオ。
ただし、「表」の祭りならともかく、
「秘祭」の方ではスサノオが悪役というのが興味深かった。
この秘祭に捧げられるのが咲で 低所恐怖症のばっさりとした女性。
真中は若頭 兼 悪役の方のスサノオ役。
淡く激しい恋というよりは「俺の従業員返せ!!」に近い気がしました(笑)
男が女のために(女が男のために)動く理由を
全て恋にしなくてもいいよ~と思ったんですがまあそこはそれ。
楽しんだのも事実だしな。
エピローグでも幸せそうでなによりです。
秘祭の裏でキーワード(だと思う)なのが
フカシと、その毒素を吸うことによって青くなる竹(浄化原種)。
「フカシは見えないからフカシっつぅくらい」だそうで。
これを刈るために布を口に当ててトラックで運ばれる人達。
真中のお父さん。
絵全体的には表紙で合っているかな~と思いました。
墨の濃淡ぽい。シンプルといえばシンプル。
輪郭(境界線)がはっきりしない。
謎が謎のままそれでも話が進むので
一度読み終えたらもう一度最初から読んだ方がいいかも。
絵と話の設定が物珍しいのと 書き切ったのには拍手。
精神世界に近いのかな。
首を傾げながら「面白かった…よ?」と言う感じ。
サンクチュアパブリッシングさん。