“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)/野村 美月
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【それは、”文学少女”の願いと祈りの物語――。
「書かなくてもいい。ずっと側にいる」
――そう告げるななせに救われた心葉。
だが、そんな彼を流人の言葉が脅かす。
「琴吹さんのこと、壊しちゃうかもしれませんよ」
そんな時、突然、遠子が姿を消した。
空っぽの家に残るのは切り裂かれた制服だけ。
心葉は遠子を追えるのか?
露わになってゆく真実に、彼が出す答えとは?
遠子の祈り、叶子の憎しみ、流人の絶望――その果てに秘められた物語が今、明らかになる……!
“文学少女”の物語、堂々終幕!!】
がっかりが7割。
謎解きの部分の驚きが2割。
あとは、知っているけれど認めたくない、
存在を許しはするが価値を見出せない、諸々。
遠子先輩、“文学少女”という作品が大好きな人、
精神衛生上、宜しくないかもしれませんので、ご注意ください。
文学少女・天野遠子と、文芸部員の井上心葉。
存在しない子として扱われ続けた女の子と
大切な人を傷つけたから書くことをやめた男の子。
琴吹ななせ、麻貴先輩、流人くん、竹田さん、芥川くん、美羽。
そして、櫻井叶子と、遠子先輩の両親・文陽さんと結衣さん。
題材は上巻に引き続き「狭き門」。
与えられ、重複した役割。毒の行方。死にたがりの男の子。
冒頭でも言っていますが、読み終わって、がっかりしました。
「救い」は最初から傍にあって、気付かなかっただけ。
コノハは最後まで詰まらないことばかりを選択し続けた情けない主人公。
リュウトもみっともなく泣き出すわ取り乱すわ人のせいにするわ、好きだっただけに、かなり落胆。
裏切られた裏切られたと泣く人間って、どうしてここまで嫌悪するんだろ。
遠子先輩は、最初からありましたが、お綺麗過ぎて受け付けない。
逆に、竹田さん、琴吹さん、美羽あたりは物凄い頑張った。
特に美羽なんて「あんたなにがあった!?」くらい変貌を遂げ、琴吹さんの味方もしているので、危うく傾きかけちゃいましたよ。
憑き物が落ちたみたい。
琴吹さんは最初から健気でしたしね。
芥川くん、麻貴先輩は、まあ順当。
子供云々ではやめてほしいなと思ったんですが、
最後は愛してくれたのでオールオッケー。
狭き門の登場人物が横文字なんで途中ほとんど混乱しました。誰が誰だ。
そしてコノハが謎解きをしている間にリュウト死んじゃいそうですよね。
あれ思ったの私だけかな。長かったですよね、喋っている時間。
今まで以上のどんでん返し。思い込んでいた側と、与えた側。
裏切った人と、奪ったもの。想い続ける作家。
そして、コノハは結局、なにをしたかったんだろう。
読み終わって、気持ち悪くて、そればっかり、ぐるぐる回ってます。
人を頼るのはいい、甘えるのもいい、寄りかかるのもいい。
ただ、ずっと、ぐだぐだと同じこと。
杖にしている人間に感情があることを、忘れているみたい。
優柔不断。どっちつかず。選べずに、曖昧なまま。
琴吹さんは、踏み台? 当て馬?
彼女のこの作品における役割は、
“井上心葉”を受け止めることだと思っていましたし、
事実コノハが彼女を頼るのはその部分。
書きたくないとあれだけ言っていた子が、
掌を翻して「書きたい」と願うシーンは、酷すぎて涙が出てきました。
遠子先輩は、「母親」だと思ってた。
どこまでも温かく、優しく、甘く、愛おしむように、見守り続ける存在。
だから上巻で彼女が自分の欲に突っ走ったのが嫌だったのかな。
「もう、いいよ」というくらいだったら、
中途半端に求めたり、引っ掻き回さないで。
言葉の上だけでも諦められるものを、どうして欲しがったの。
表紙の笑顔見ているだけでクるって我ながらキツい。
レモンパイもダメでしたけどね。からかっている内容が気持ち悪い。
結局、全部が天野遠子と井上心葉の物語でした。
だから、天野遠子が好きであれば、問題はないのかなと思います。
タイトルだからと言われてしまえばまあそうですが、
だったら琴吹さんの存在、いらないですよね。
いつの間に吹っ切れてるんだか、この子も。
その過程を書いてくれればまだ救われたのになあ、絶対に痛いけど。
これだけ感情を揺さぶられるのは久しぶりー それだけ
■レビュー拝読!
いつも感想中さま/9月29日