のぼうの城/和田 竜
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面白かったー


周囲を湖に囲まれ、浮城とも呼ばれる忍城(おしじょう)。
領主・成田家一門の成田長親は、領民から「でくのぼう」を略して「のぼう様」と呼び親しまれる人物であった。


天下統一目前の豊臣秀吉 vs 関東最大の勢力、北条氏
豊臣側に抵抗するべく、北条氏政は各地の支城の城主に篭城に参加するよう通達。
支城の一つであった忍城主の氏長は、北条に従うように見せかけ、裏で豊臣側への降伏を内通し、篭城作戦に参加していた。

「武州・忍城を討ち、武功を立てよ」
秀吉にそう命じられ、石田三成は成田家が降伏しているとは露知らず、戦を仕掛ようとする。
城はすぐに落ちるはずだった。
開城か戦か、成田家に遣わされた軍使が問うと、総大将の長親は「戦」を選択。
当主・氏長より降伏を知らされていた重臣たちは混乱するが、かくして忍城戦は幕を開ける。

総大将たる長親には、将に求められる智も仁も勇もない、正にその名の通り、でくのぼうのような男。
主だった将兵は小田原へ赴いていた。
三成率いる二万超の軍勢に、百姓らを徴発して二千強の成田氏。
果たして勝機はあるのか。

(ウィキペディア「のぼうの城」あらすじより抜粋/一部編集)


こういうの書かれちゃうと、両手挙げて降参なんですよねえ。どうしようもない。
とにかくもー格好よくてしょうがない。容姿とか外見じゃないですよ、そんな程度のもんじゃない。
負けると解っていて自暴自棄ではなく負けに行くの、とでもいうのかなあ。
振り返れば一大事として歴史に組み込まれるが、リアルタイムで生きている彼らには、それが歴史に残るだなんてちらとも掠めない。つか、そのとき「歴史に残るかも」なんて考えている奴らにあんなことが出来るはずがない。
ただ、格好良い。ゾクゾクするくらい格好いい。
敵う気がしない。


出だしは秀吉側。
そのあと舞台ともなる忍城になります。


● 登場人物

改めて、「のぼう様」と呼ばれる図体のでかい子供のような男、成田 長親
表情に乏しく、馬にさえ乗れない運動の苦手っぷり。

成田家家老の一、正木丹波守利英(まさき たんばのかみ としひで)。
結構この正木さん視点が多いかも。漆黒の魔神。

若干22歳にして成田家家老、酒巻 靱負(さかまき ゆきえ)。
自らを戦の天才と称す小柄な男。口調の印象は17歳くらいかと思いました、元気の良い若者。

柴崎和泉守 (しばさき いずみのかみ )
成田家家老。大きい人。20歳以上年の離れた妻との間に6人の子どもがいる。
正木さんと競い合ってます。奥さんが煩いから一喝して出てくるだとか。

戦闘には出てきませんが忘れちゃいけないのが甲斐姫!
率直に彼らを羨ましいと思う彼女が羨ましい。
強かったですね、あらゆる意味において。

対するのは石田三成、大谷吉継、長束正家。


参考文献の引用が入ってくると文章のリズムが崩れてそれに慣れるのがちょっと大変でした。
あと単純に、人間が多いですよね。誰を見ていればいいのか。
途中で奥に引っ込んじゃう人もいれば小田原城に行く人もいましたし。
石田三成を好きな人は読まないほうがいいのかな、可哀想な扱いでした。


先に「忍びの国」を読んでいて、こちらも勿論面白かったのですが、個人的にはのぼうの方がよかったかなと思います。
だから結果的にどちらも楽しめたので、そこらへん運がよかった。
表紙はオノナツメさん。これがあったからちょっと興味が湧きました。
文庫の表紙がオノさんなら(或いは表紙がよければ)多分買う。早く出ないかな。

■ レビュー拝読!
ある休日のティータイムさま/11月30日追記


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→(感想

文庫版が出たのでぺたり。追記H23年1月13日

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