なぜ絵版師に頼まなかったのか/北森鴻
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【学究にこの身を捧げたるからには、目の前の謎を放置しておくわけには参らぬ。
変革の嵐が吹き荒れる、明治年間の帝都。
帝国大学には多くの雇われ外国人が教師・研究者として働いていた。
エルウィン・フォン・ベルツ先生もその一人。
並外れた日本びいきで知られるベルツ先生とその弟子・葛城冬馬が次々に出来する新時代の事件に挑む!】
■雇われ外国人と給仕が謎解くミステリー
舞台は明治十三年から明治二十二年にかけての帝都・東京。
東京大學医学部主任のベルツ先生を師事し、給仕として働くことになった若者、葛城冬馬。
彼が、友人の市川歌之丞(うたのじょう)こと市川扇翁(せんおう)こと小山田奇妙斎こと鵬凛(ほうりん)こと仮名垣魯人(かながき ろじん)という具合に、話が変わるごとに名前が変わってゆく人とともに、周りで起きた小さなものから大きなものまで調べ解き明かす短編連作。
なぜ絵版師に頼まなかったのか
九枚目は多すぎる
人形はなぜ生かされる
紅葉夢
執事たちの沈黙
収録。
■知識に貪欲な人達
どれもこれも出だしに時代がかった部分の読み難さがあって、地の文でも言い回しが違ったり、そこらへんがいつもより楽しめなかった原因かもしれません。話自体は、軽く政治関係(明治維新の功労者)も取り混ぜてのことでした。
川路さんが一行出てきただけで十分だと思った私って。(藤田五郎の上司)
時間軸はそのままストレートなんですが、話と話の間の時間が年単位で空くのにビックリ。
トウマがかなりの優等生&博識ぶりでちやほや!
ベルツ先生の体を小さいと思うのはちょっと切ない。
推理部分はやっぱり若干の揃えられた感がありましたが、感覚的にはいつも通り。
日本が西洋にかぶれたように、日本人好きの彼らの行動が面白かったです。
最後の語りが、あれ続編出るのかな、とも思いました。
話してるの誰だろう。
文庫版が出たのでぺたり。追記H23年1月13日
なぜ絵版師に頼まなかったのか (光文社文庫)/北森 鴻
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