ラブコメ今昔/有川 浩
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【乙女だっておっさんだってオタクだって人妻だって、恋がなければ生きてゆけない。
ベタ甘ラブに耐性のない方お断り(もしくはこの機会に溺れてみる?)の、最強短編集。 】


■ラブコメ今昔
突っ走り系広報自衛官の女の子が鬼の上官に情報開示を迫るのは、「奥様とのナレソメ」。双方一歩もひかない攻防戦の行方は!?

煙草を隠れて吸う高校生のようにトイレで電話をかけているおじちゃんが可愛いっ。
無口なのに存在感のある写真担当のお兄さんも素敵でしたが、行動力ある娘さんでしたね~。
一昔前のようなお見合いでのやり取りも素敵でした。男心がむちゃくちゃ可愛かったです。
しかし、釘を刺す所は釘をさす。さすが年長者。覚悟のほど。もしもではない有事。


■軍事とオタクと彼
出張中新幹線の中で釣り上げた、超かわいい年下の彼は自衛官。
遠距離も恋する二人にはトキメキの促進剤。けれど――――。

毎度思うんですが、「釣り上げた」って爽やかに酷い表現ですよね! いや好きだけどさ!
オタクの中でもレンジャーモノとちょこっとプラモなお兄さん。
弟が地味にオープンなオタクでした。すげー、すげー。
「弱い人に手を差し伸べる」ことが当然だと言うのがカッコいい。
外国への派遣も自衛官らしかったですが、妙に弟さんがイイトコ持って行きますね。
広報の女の子といい、このお姉さんといい、積極的な女性が今回は多いですねー。


■広報官、走る!
「広報官には女たらしが向いている」といわれつつも彼女のいない政屋一尉が、仕事先で出会った感じのいい女子。
だが現場はトラブル続きで―――。

ドラマ撮り。こんなこともやってるんですね、じゃあ海猿のときは海上保安庁まで行ったのかな。
笛と踊りの表現が好きだったなあ。ときたま救いようの無いほどに嫌な奴が出てきますよね。
作者自身も多分拾う気がないんじゃないかな、ってくらいに。
初対面の女性とソツなく話せる男の人も、その逆もとても貴重です。
逃がしてたまるか!からの件がどーしようもなく笑えて来て大好き。
国を守って帰ったら、すぐに夕飯よー、なんて、笑っちゃうくらいに暢気でギャップが凄い。


■青い衝撃
旦那がかっこいいのはいいことだ。
旦那がモテるのもまあまあ赦せる。しかし今度ばかりは洒落にならない事態が。

おおお。女の陰湿大解放!
「クジラの彼」で纏わりつかれてたのは聡子さんですが、今回は男性のほうに熱烈なファンが。
自衛隊の顔、ブルーインパルスの一員。
これくらいやるだろうな、と思っちゃう自分もやはり性別は同じわけで。
それだけを理由にするのはちょっとずるいんだけどね。いやあ、姑息に卑怯で大好きですよ、こういう人。
潰しがいがありますよね。爪からの件が特に好き。

■秘め事
よりによって上官の愛娘と恋に落ちてしまった俺。
彼女への思いは真剣なのに、最後の一歩が踏み出せない。


うわ、一気にズドンと落とされた。
宮崎さんが「鋼の錬金術師」のヒューズ准将に見えて仕方なかったです。
自衛官であるが故の苦悩。背負わせる必要の無い重荷。
「なんとなく」を理由に別れようとした人。序盤は元気な女の子も出てきます。
表で殴り合いとかすげー青春!!と思いましたよもう。しょげてるお父さんが可愛いっ!
後書きでも書いてありましたが、そんなに事故って多いんですね…。

■ダンディ・ライオン~またはラブコメ今昔イマドキ編
「ラブコメ今昔」では攻めに回った元気自衛官、千尋ちゃんも自分の恋はいっこうにままならず…。

千尋よりも写真のお兄さんかな?
この人いい具合に矛盾してましたね、あたしから言わせれば技術だけが先走った写真なんてただの「綺麗」で終わっちゃうと思うんですけど。
現れるはずのなかった人。言い当てられた言葉。後者は(またもや登場してもらって申し訳ないのですが)「クジラ」発言かなと。
それに思いっきり反発した人。隠れて撮ったイイ写真。
言葉のセンスが似ているって凄いなあ。ラブコメ今昔にもちょこっとリンク。