月の扉 (光文社文庫)/石持 浅海
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【沖縄・那覇空港で、乗客240名を乗せた旅客機がハイジャックされた。
犯行グループ3人の要求は、那覇警察署に留置されている彼らの「師匠」を空港まで「連れてくること」。
ところが、機内のトイレで乗客の一人が死体となって発見され、事態は一変―――。
極限の閉鎖状況で、スリリングな犯人探しが始まる。
各種ランキングで上位を占めた超話題作が、ついに文庫化。 】


■善人が行うハイジャック、無実の人の釈放
……うーん? 「月の向こう側」含め、ちょっと放り投げた感じがしました。
「犯人探し」はまあ別にいいにしても、座間味くん(どうしようこの人凄い素敵!)と真壁さんのキャラが途中から被りすぎてたり。
あと新鮮で反発しちゃったのが「他人の悪意に耐えられる人は、他人に悪意を抱ける」ような所。

少し間違えば宗教の教祖になってしまうようなおじいちゃんと、
彼が行うキャンプのもとで立ち直った三人による、「月の向こう側」への旅。
終わりがあるから始まりがあり、始まりがあるから終わりがある。
死ななければもう生きることもないとした人達。

テロの対応に慣れていないだろうとして使われた空港。
本人全く出てきていないのに響いた「大地」という子供の存在。
ちょっとお父さんそれやりすぎだろう、と思わなくもないがな。
あとやっぱりお姉さんに共感ができない所。プライド捨ててるよなこの人も。


「セリヌンティウスの舟」と「水の迷宮」でもそうでしたが、味わったことがある人同士にしか解らないつながりが結構表面に出てくるんですね。
個人的には大好きなので嬉しいです。あとやはり沖縄やダイバー、海といったものがお好きなようで。

結局、主役三人を食うように座間味くんの推理だったかなあ。
この人、一見そうでもないかもしれないけど、案外癖が強い。地味にえげつない。
あんまり喋ってないけど、彼女さんはすっげーいい趣味してると思う。
最後の最後も決めてくれましたが、あれって真壁さんの所で手を合わせたんだよね?
なんかもう生きた者勝ちな気がしないでもない。
座間味くんは「心臓と左手」に出てきているらしいです。