サークル・マジック―サンドリと光の糸 (小学館ルルル文庫 ピ 1-1)/タモラ・ピアス
¥620Amazon.co.jp

【魔法使いに導かれ、4人の子供達が紡ぐ物語。

一人の魔法使いに出会ったことから、それぞれ問題を抱えた四人の子供たちの運命が大きく動き始める!
彼らは魔法使いに導かれ、秘められた自らの能力に目覚めていき…!?
四人の子供たちが紡ぐ物語がはじまる! 】


■登場人物
サンドレリン・ファ・トーレン(サンドリ)
王族ともつながりのある貴族の娘。
両親を病で亡くす。薄茶色の髪に青い瞳の、明るく好奇心旺盛な少女。

ダジャ・キスーボ
交易の民の娘。家族と乗った船が嵐で難破し一人生き残る。
褐色の肌にドレッドヘアー。陽気で快活な少女。

ブライアー・モス
天涯孤独で路上で生活していた、元こそ泥の少年。用心深い。
不揃いな黒髪に灰緑色の瞳。五ヶ国語を話す。
ブライアーは茨、モスは苔。

トリサーナ・チャンドラー(トリス)
商人の娘。赤い髪に灰色の瞳を持つ内向的な少女。
周囲で起こる不思議な現象のため孤立し、心を閉ざしがち。


以上が、少年少女4人。

ニクラーレン・ゴールドアイ(ニコ)
4人を繋ぐのがこの人。
ワインディング・サークル学院の魔法使い。人の隠れた才能を見つける力を持ち、「黄金の眼のニコ」と呼ばれる。

ラーク&ローズソーン
ディサプリン荘の監督者。前者は機織の、後者は園芸の達人。

(表紙折り返し部分より抜粋/一部編集)



■出だしを抜ければ
最初、4人をがががっと一気に集めるので、ゆっくり読まないとどこがどこだか解らなくなる。
というかむしろニコの影分身かと思うくらいあっちゃこっちゃで迎えに行ってます。
サンドレリンが魔法で閉じ篭っていた地下室に行き、
ダジャが流れ着いた無人島に行き、
ブライアーが捕まった牢獄へ行き、
トリスが通っている学校に行く。

それで4人が集まるのはワインディング・サークル学院。魔力を持った者が集まる場所。

■少年少女の友情物語
これに言葉を加えて、地味な、がつきます。
断っておくと、トリスが1回踏んだくらいで、そのあとは取り立てて酷い行動をしなかったし、
それ以外での地雷を踏んだ所は勿論なく、えーなんだよそのご都合主義ー!(最初を除き)とか、いやいや待て待てお前らアホだろ!?というような所もなかったんです。
本当に、互いに互いを信用しない子供達の集まりから始まるお話。

ただ、読めば読むほど味が増してくようなスルメとかイカみたいな感じもする。
で、それは転じれば、山場があるのに地味っていう貶してるような感想になっちゃうんだけど。
ルルルの翻訳は大分構えていたこともあって、そんなに悪くなかったんじゃないかな、という甘めの感想かも。

まあそれでも、じわじわ仲良くなっていくのは、素敵でした。
特に市場での子犬の一件なんて、ブライアーに拍手ですよ! よく言った!
それ自体がもう最後のほうだったんですが、暗闇を怖がる仲間にあげたものもね、そのもの自体も勿論大切なんだけど、そこに込められた気持ちが当初は絶対になかったもので、余計に嬉しかったです。

蔑称を用いて相手を呼び、両手に刻まれたXの手を見、貴族と商人の差を嫌がって。
それでも、ダジャとサンドレリン、ブライアー、トリス。
ちっとも派手じゃない魔法の力、生活に根付いた必要不可欠な特別なもの。
魔法なんてほとんど言葉の上で出てこないんですが、これからどんどん目覚めていくのかな。

4巻完結予定。