シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン/小路 幸也
¥1,575Amazon.co.jp

【東京バンドワゴンの仲間たちが帰ってきた!
東京下町の老舗古書店「東京バンドワゴン」で繰り広げられる、涙と笑いの物語第2弾!
今日も「古本」と「家族」にまつわる事件が持ち込まれる。赤ちゃんが置き去りに!?
…他、春夏秋冬の感動4編。 】

■登場人物 多し
おじいちゃんの勘一と、おばあちゃんのサチさん。
息子の我南人(がなと)と、妻の秋実さん。(奥さんは亡くなられています)
我南人は伝説のロッカーらしく語尾を延ばすのが特徴。結構色々引っ掻き回してます。
そんな我南人と秋実さんの子供は、長男の紺と長女の藍子、愛人の子(紺と藍子にとっては異母弟)の青。
紺の妻である亜美と、その間の息子である研人。
藍子がシングルマザーで産んだ花陽。(かよ)
青の結婚相手のすずみさん。花陽とすずみさんのお父さんが同じ。(藍子の不倫相手がすずみの父で、だから花陽とすずみは異母姉妹)
青を産んだ母親であり日本を代表する女優、ユリエさん。

それ以外にも藍子さんと同じ画家である外国人のマードックさんや、
読んだ本のレポートを提出しに来るIT企業の社長藤島さん、
小料理居酒屋<はる>の女将さん、退職した刑事である茅野さん、などなど。


持ち込まれる「本」とそれぞれの過去と未来、交わりあうのは一点、東京バンドワゴン。


■お話それぞれ
冬 百科事典は赤ちゃんと共に
春 恋の沙汰も神頼み
夏 幽霊の正体見たり夏休み
秋 SHE LOVES YOU


繰り抜かれた本の一部と置き去りにされた赤ちゃん。
我南人の亡き奥さんに似ているという少女に、お金が入用の学生。


花陽の家庭教師として雇われることになった藤島さん。
初恋の相手と宣戦布告。マードックさん。刑事さんも出てきます。
殺された姉と、姉に似ている藍子さん、刑期を終えて出てくる人。


外国人嫌いの理由。死んだ妹。
転校して来た少年、研人との共通点、昔コピーした本。
子供の想像力と、小さい子が苦手な祖母。
大じいの言葉がじんと来ます。


警察の家宅捜査。呪いの目録。
東京バンドワゴンが唯一休む日。太陽の命日。
紺と青の会話がしっかりしていて頼もしい。
誰かが離れることを前提としないのは素敵だな。
名前に意味を込めるのは最初の親の愛。


めでたし、めでたし、で終わるのだけれど、まだ波乱は続きそうです。
シリーズ化かな。裏切られない面白さでした。
青とすずみさんが妙に好きです。
それぞれの個性がそれぞれを邪魔せず大らかに受け止めているからか、読んでいてとても安心。




シー・ラブズ・ユー (集英社文庫―東京バンドワゴン (し46-2))/小路 幸也
¥580Amazon.co.jp
09年4月文庫版発売。