岡本 タクヤ, 柏餅 よもぎ
千の剣の舞う空に (ファミ通文庫 お 5-1-1)
【ボーイミーツガール・オン・ライン――この“絆”はきっとリアルだ。
高校1年生の速水真一は、一対一で戦い勝率ランクを競う
オンラインゲーム『サウザンド・ソード』に没頭していた。
事故で諦めたかつての夢――格闘技世界最強――を仮初めの世界に求める真一。
そして、そんな真一が出会った白い剣士・アスミ。
彼女は上位ランカーの前に現れるという最強のプレイヤー『闇』に会うため己の技を磨き上げていた。
世界最強を目指す真一と、世界最強のプレイヤーを捜すアスミ。
二人は自然と行動を共にするようになり、打ち解けあう。
そんなある日、真一はアスミを操るプレイヤーが同じクラスの真山明日美だと気づくのだが………。
ON(虚構)/OFF(現実)の境界を超えたボーイミーツガールを爽やに描き切る優秀賞受賞作!!】
爽やかで瑞々しいオンラインゲーム小説。ぐはっ。
こーれはどうしよう、ストレートなんだが、結構好きだな。
現実の真山と、虚構のアスミ。
クラスでの速水と、ゲームでのサムライ。
アスミが真山であること知っている自分は、けれど彼女と接触しない。
お互いがログインすれば合図もなく共に行動するような関係ではあれど、ログアウトすればひとりで本を読む地味な男子とクラスの中心で笑う女子。
それは、変わることなく続くはずだった、平行線。
ま、まぁ正直「そんなベタな」と思ってしまう出会いこそありはすれ、
展開、メッセージ性やちょっとした熱さ、面映さは、高水準でツボ。
「本当の自分」も言葉は出てくるけど、よくまとめてくれたし、オンとオフの切り替えもよかった。
かつて「最強」を目指していた少年が、逃避のように向かった「ゲーム」での最強。
しかし現実でも昔取った杵柄を振るうことになります。血を流させたら三流だはかっけぇ。
オンラインゲーム内でのプレイヤーもかなりいい味出してました。
その場キャラではあるんだけど、蒼騎士やハクリュウサイはインパクトあるなぁ。
発売当時からずっとトップを爆走する「闇」の存在も、思わず頷いてしまうような人で、でもきっとそうしなければアスミ達は出会わなかったんだろうなと思います。
これはネット上であればどこでも言えること。
性別も年齢も組織も住所も超えての坩堝。
学園祭の責任者を任され、関わることのなかったクラスメート達の名前を段々と覚えていき、ネットに没頭する傍らで捨ててきたものと出会う。
ああいいなぁ、そうだよ、私だってそっち側に行きたいときがあるよ。
凄く凄く羨ましく思えるときだって、ないとは限らないんだ。
空手をやっていたときの宿敵。友と読む。今は過去形になってしまったけれど。
「最強」を決めるにはしなければいけない最後の戦闘もね、ああぁぁぁぁぁあ、と心で嬉しい悲鳴。
カッコいい。
表紙にめげず買ってよかった。
そしてまた巡り会うのはオンライン。
ネトゲのイメージからかなりかけ離れていました。
続き、出ないかなぁ。ダメかなぁ。今度はパーティー性らしいし続いて欲しいなー。