坂木 司
先生と僕

【大学生になった少し怖がり屋の僕は、ひょんなことからミステリー研究会に入る。
同時に家庭教師のアルバイトを始めるが、その教え子は大のミステリー好きだった。
身の回りで起きるちょっとした事件を二人で解決していくライトミステリー】

短編連作。
生意気で優秀な中学生と、流されるままに生きている押しの弱い大学生。
両方性別は男、前作を知っている方は予想が付くとおり、今回も“鳥井”と“坂木”役が居ます。
情報をもらって解く側と、それを聞いている側。ホームズとワトソン。

一話、先生と僕
二話、消えた歌声
三話、逃げ水のいるプール
四話、額縁の裏側
五話、見えない盗品

人は死にません。人情劇よりです。つまり安心して読めるミステリー。イコール私好み!
若干中学生が鼻に付きますが、大学生の伊藤二葉が所々笑わせてくれました。
それに、派手な犯罪ではなく、悪く言えば地味で細々とした、普通に捉えれば生活に根付いている頷いてしまうような、犯罪「未遂」です。

ちょっとじんわりするようなお話や、うがー!と思ってしまうようなお話もありますが、概ね今まで通り、安全に読めたと思います。
しかし説くのが「都会って世知辛いね……」なので、なんとなく沈む。
それに、先生、というよりは、協力者、相互扶助、の方が合っている気がします。
作品内の事件に似ているという小説を読んでみるのも、また一興。