菊地 秀行
銀座魔界高校―魔界都市異伝 (双葉文庫 き 5-18)

【高校生の分際で夜の闇の一族と闘う僕。
同居しているのに一度も姿を見せたことがない祖母ちゃんや、チームのリーダー武城さんもいるが、なんせ人使いが荒い。
平穏な高校生活を守るため今日も卑しき街を行く──。ハイパー青春伝奇ノベル!! 】


群集心理と「数」の絶対性。
運動能力だけなら一人で一万は殺せる「僕」らは、けれど絶対的に力を受け継ぐ確率が低い。
だから、反旗を翻すことはおろか、存在さえも知られてはいけない。
自分達よりも絶対的に強い僕らを確固たる「恐怖」の対象として認識させてはいけない。
――――その為には、逸脱した同族さえも狩る。


1回の未遂と3回のベッドシーン。苦手な人は要注意。
濃いというよりはねちっこかったという印象。
最初の同級生中学生でドン引きした人は読まないのが吉。
中心とまではいかないものの、要所要所で忘れた頃に醸し出されてました。

「あーまーあるよね、こーゆーの」程度に読み飛ばした身としましては、順当に面白かったです。
恋愛に重視するとそこまでではないですが、
キーワード的には異能/一族/迫害/戦闘(殺し合い)あたり。

お祖母ちゃんの突飛さと孫への愛情、或いは祖父への憎悪も凄かったですね。
結局同級生と一緒になっちゃうし……この際モラルは問わないけど現実的に嫌だな。
自分の同級生が祖母の彼氏って。

戦闘に関しては、植物からの協力・同盟といったものがあって、これは非常に新鮮でした。
結構シビアな雰囲気でもありましたが、500年の命に詫びる主人公も偉い。
完全な弱肉強食の世界で、自分達の存在を知られてはいけない彼らが、人に紛れ、人に関わり、―――そしてやっぱり、最後には裏切られています。

反旗を翻した一部の同族は、生殖行為に成功した、とありますが、とばっちりを食らうのは人と共に暮らしている僕ら。
恐怖に駆られた人間の視点が全くないので、用意が良すぎるだろう……と思います。
つーか病院側殺すなよ、勿体無い。どうやったって数には負けるんだから、リーダーになっても完全な服従か全滅しか道はないと思いますが、はてこのあとはどうやって続くのか。
続かないのかな? 
数こそは暴力で、非力な人間には逆らえない。

双葉文庫さんでした。