“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)/野村 美月
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【夢のようなひと夏の思い出を描く、“文学少女”特別編!
『悪い人にさらわれました。着替えと宿題を持って、今すぐ助けに来てください』
――そんな文面で呼び出され、貴重な夏休みを姫倉の別荘で過ごす羽目になった心葉。
“おやつ係”として呼ばれたはずが、麻貴の挑発に乗せられた遠子に引きずられ、
昔屋敷で起こったという惨劇の謎解きをする羽目になり――!?
不敵に微笑む麻貴の望みとは?
自らの“想像”に心を揺らす“文学少女”の“秘密”とは――?】
――――いや、ちょっと待とうよ、と。
太字の文字。もう6回目ともなれば、流石に慣れが来たりして。
気軽に誰だろうなーなんて読み進めて行ったら、まさか、さ。
筆者が誰か、というのはむしろ置いておいて(最後はっきりと解る)、そうしたら、それまでの太字の部分が全てがらっと変わるんだ。
―――それは、予想をしていても、簡単に耐え切れる「終わり」じゃない気がする。
短編集と言うよりは番外編、一本丸々麻貴先輩のご実家のお話です。
かつてこの館に住んでいた「巫女」と、そこを訪れた青年。
交わされた約束。留学と、遺していったもの。
一本丸々、とはいってもやはり麻貴先輩は麻貴先輩らしく、
文学少女は文学少女らしく、コノハはコノハらしく。
重ねられる役割と、ひっくり返される振り分けに右往左往するのも毎度のこと。
シリーズを通して、劇中劇を読んでいる印象です。
キャラそれぞれの個性が確立されているので結構平等に読むことが出来ます。
ただ枠を出ることがないので安心。「枠から外れている」麻貴やリュウトさえ、「外れた枠」に囲まれている気がします。
今回はリュウトくんも出てきて、蛍が亡くなってから一ヵ月後のこと。
麻貴先輩の憤りも見れます。珍しい。
太字の部分だけを読み続けると無性に泣けてきます。
イラストのコノハが成長してきたなーと思いました。