かくて背信の旅はおわる トワイライト・トパァズ4 (ファミ通文庫)/佐々原 史緒
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【「思慮の塔」の魔導士仲間からも追われる身となったトパァズ一行は、ヴィットーレに拉致された師匠ルキウス(犬)を奪還するため、神都の対岸の街リガータを目指していた。
しかし、追っ手を退け辿り着いた彼女を待っていたのは、味方となった師匠の弟セサルではなくまたもや爆弾テロだった!
全属性支配主という、史上二人め、そして大陸最強の力を秘めた“背徳のトパァズ”は、師匠を救い出し、自らの汚名をそそぐことができるのか? 感動の最終巻。】

師匠を助けようとすればするほど犯罪歴が増えていく不憫なトパァズ。
1500年以上を生き、トパァズの気が済むまで旅に付き合うと決めたハイ・エルフのアダマス。
オニキスを主に、彼女の親友に使えるのはクラウンカラスの琥珀。
星見の後継者でありながら発明に力を注ぐ、ルキウスが唯一「友人」と称したエドモンド。
ルキウスの弟であり、オニキス・ガードナーの団員、セサル。

と言うわけで、背徳の旅の最終巻。
序章からルキウスさんが可愛くて仕方なかったなー。
回想シーン。戦場でのひとコマ。
トパァズの故郷、元・植民地のクヴァーナでは個人の誕生日を重要視しないので、ルキウスと同じ日に決めたそうです。その日に死んだのなら、絶対に忘れることはないだろう、と。
「忘れられたくなかったら、俺より早く死なないことだ」。


警務隊に捕まったりヘタマイトさんに助けられたり、セサルが意外と温和になってたりしましたが、従来の扱いどおり「テロ」のお兄さん達も出てきます。
ただまぁ、このシリーズにおいては、然程突っ込んではいない、という印象。
勿論、名前だけを借りたような愚行ではありませんが、要素のひとつであって主題を張るには聊か少なかった。
基本的にキャラの掛け合いとトパァズの心情が好きだったのでシリーズ一貫して高評価ですが、シリアスに「テロ」だの「王古復権派」だの「国家間」だのを求めるとちょっと違うかも。

しっかし、ルキウスの意地っ張り――もとい弟子想いには頭が下がる一方で、甘い甘いと笑いたくなりますね。可愛いなぁ。
スパルタ教育で育てた(本人自覚ナシ)弟子は一度や二度の拒絶じゃあへこたれません。
コレまで幾らでもへこたれる要素はあったんだから、今更最後の最後でめげるんだったら、このたびはここまで続いてこなかったでしょうに。
―――トパァズはね、確かにあの映像を見たときは、あんたに嫌われるのが世界で一番怖かったのかもしれないけど、今はもう、生きていないことのほうが怖いんだよ。
っつーのは私の解釈でしかないですが、多分ルキウスも、トパァズに死なれたら物凄く痛いんだろう。そうだといいな。
弟さんのことも思慮の塔から弾いたことはまだ弁明の余地があった。
生家を残しておいたのさえ、ルキウスにとってそこは自分の実験施設でしかなかったけど、セサルにとっては想い出の地だったんでしょ。少なくとも、父親からは愛されていた場所。
目でも足でも腕でも持っていけ、っつーんだから、最強だ、ルキウスさん。

アダマスさんの「眠り」の場面は思わず涙腺が緩みました。
のほほん娘で終始一貫していましたが、不意打ちでキましたよこのお姉さん!
ブレラじいちゃん(ルキウスの師匠で、トパァズの大師匠)の言うとおり、魔宝士は世界からどんどん減っていっていて、100年後の未来はどうなっているか解りませんが、連なっていく血を、彼女はきっとまた抱き締めるんだろう。
師匠の本音には思わず息を飲みました。1巻の初めの方から動物になっちゃって意思疎通もまともに出来なかったルキウスですが、いやいやこれはカッコいいなぁ。


個人的には是非ルキウスとトパァズのお子さんとお茶でも飲みたかったんですが、一からやり直しかよ……っつーか隻眼でいいじゃねぇか、ミニマムんなるこたねぇだろう!
次なる旅へ、という終わり方でした。世界観一緒で続編出るとしたら、次世代編……? いやいや是非またルキウスとトパァズにお会いしたいことです。
オニキス・ガードナーに居るセサルも含めてね。