かくて流転の定めはつづく トワイライト・トパァズ 2/佐々原 史緒
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【師匠ルキウスを人間に戻し、奪われた魔導力を取り戻す決意をしたトパァズ。
だが肝心の「黒曜守護団」の本拠地は、杳として知れなかった。
途方に暮れるトパァズたちは、思案の末、アダマスの曽孫ヘマタイトさんにすがりつく。
そして、僅かな手がかりをたよりに、元リベルダード宮廷魔導団の団長の元へと行くが、その老人カルセドニーにはなにやら怪しげな雰囲気が――。
逃亡者にして追跡者、大陸一の苦労人トパァズの苦難の旅は続く。第二巻。】


敢えて文字にする、という必要性はないかもしれないし、視点であるトパァズが若く幼い(貶してはいません)ので地の文でもテンションが高いので受け付けない人もいるかもしれませんが、うん、面白いからいいよ。(色々投げ捨てた模様)
さくさく読める上にちょっと捻くれたトパァズのへこたれない精神が物凄く好き。
いいな、惚れるわ。惚れた。この子好き。ぐりぐり頭撫でて抱き締めたいくらい好き。

しかも師匠ヤギだよヤギ! 鳴き声「ぶめーっ」 だよ!
規格外の天才のように能力が高く超絶美形のくせに弟子のトパァズからは「人間を顔で判断してはいけない」とされるほど性格の悪い師匠がだよ!
最初はリスでその次モモンガ。狼になってトパァズの体でも包んでくれればいいのにっ!


ハイ・エルフにして千五百年を生きるアダマスは、焔の支配主、オニキスの親友。
人間としての意識が薄れないようにする道具を求めたトパァズだったが、それらは盗賊に盗まれた後。
しかも禁止とされる属性魔導を使用したとして、師匠が黒曜守護団(オニキス・ガードナー)から指名手配に。
師匠、ルキウスの弟セサルは、ルキウスの力は石に閉じ込められているという。
ぽややん能天気娘(男好き)、アダマスちゃんとその眷属(人間)の協力を得て彼らの本拠地を探すものの―――。

前巻でも登場している「テロリスト集団」「王古復権派」の皆々様がご登場。
結構この思想は引っ張るらしく、最後には自称王女か女王が出てきます。
1巻での橋の破壊もでてくるので、絡めていく手腕に期待したいかと。
アダマスの眷属――子孫達――が殺し合いを始める一方、トパァズのルキウスに対する感情がちょっと見え隠れしています。
気の毒でしょうがないヘタマイトさんはなんやかんや言って素敵でした。ちゃっかり者だし。あのイラストにはビックリしましたが。青年化と思ったらおじいちゃんとおじちゃんを足して二で割った感じに……。

回想シーンで師匠が夜遊びに行き、それをトパァズが追いかけるというシーンがあります。
もう一回引っ張って、「女としてのトパァズは必要ない」という解釈に行き着くのですが、成長していく体を誤魔化そうとする必死なトパァズがもぉひたすら可愛くてしょうがない。
「怖い」んだって。「世界で唯一怖いもの」がルキウスなんだって。
だから胸を隠して「邪魔」って言うんだ。特別なのは「師匠の弟子」だけなんて、全くもってお門違いなのに。
これ以上弟子を取る気はないって言ってたような気がするんだけどなぁ、ルキウス。
そしたら「師匠の弟子」は唯一、トパァズだけだろ。
ルキウスの過去を知っていた姉弟子のマグダレーナに痛みを覚えます。あー可愛い。

詠唱呪文も凝っているというよりは従来なんですが、個人的には結構好み。
ただ、魔宝の力というのは、閉じ込められたその人を自分に表意させる、といった感じなのかな?
呼び出した人=自分。自分=呼び出した人。ダブって見える?
鳥の琥珀、アダマス達との掛け合いも面白いし、まぁ1巻であれだけ使えなかったモダン・スタイルをすらすら使っちゃうあたり結構疑問ですが、喜んで3巻に走ろうと思います。
ヤギ師匠も師匠で可愛いなー。