坂木 司
ホテルジューシー
所は沖縄、立地は路地裏、掃除アバウト冷暖房一応完備、
朝食激うま、オプションはがんばる女子と日常の謎。
ホテルジューシーへようこそ!!
柿生浩美20歳。しっかり者ですが、それが何か?
注目の覆面作家がおくる、ひと夏の青春&ミステリ
大家族の長女に生まれた柿生浩美=ヒロちゃんは、直情で有能な働きモノ。
だがこの夏のバイト先、ホテルジューシーはいつもと相当勝手が違う。
昼夜二重人格の“オーナー代理”はじめあやしげな同僚達や、ワケありのお客さんたちに翻弄される日々。怒りつつもけなげに奮闘するヒロちゃんにさらなる災難が・・・・・・
「ホテルジューシー」 (sweet blue age収録。)
ホテルジューシーは記念すべき第一話。
ヒロちゃんの説明と、一夏のバイトの理由。
片割れであるおっとりしたお嬢様のお話は光文社出版の「シンデレラ・ティース」です。
「越境者」
お客様はヒロが最も苦手とするギャル。
しかも高校一年か中学三年かきわどい二人の女の子達。
折角沖縄に来たというのに激ウマ比嘉さん料理は食べずファーストフードに走り、危ない男の子達には捕まり、挙句夜道の真ん中で酒盛り!?
火炎瓶! 火炎瓶!! 火炎瓶のオーナーが素敵でした!!
ほんっとこの人昼夜で人格変わるな。夜カッコいい(昼間がぽややんだから5割り増しで)
「等価交換」
白刃の人の怒鳴り声が電話から聞こえる。
突然の出来事。ホテル側に落ち度はない――はずなのになんでか不審人物まで電柱に?
骨董を扱う田中さんが消えたその翌日から苦情殺到。
出かけたのは――夜に経つ市、ハンビーナイトマーケット。
昼は陽射しがキツイから、夜に動き始める沖縄の人。
「嵐の中の旅人たち」
旅行ブログを書いているという人が泊まりに来た。
OLの小野寺さん、奔放とした馬場さん。
――自首することをお薦めします、という不穏なオーナー代理の一言。
「トモダチ・プライス」
お弁当を安く売ってくれたヤスエさん。
バーで知り合ったヒデさん。
夢だけじゃ喰っていけない、ましてや憧れだけじゃ、食いつぶされるだけだ。
珍しく苦いお話でしたねえ。嵐の中の~もそうですが。
「≠(同じじゃない)」
自分の価値観で、その夫婦はとても異常に思えた。
働く奥さんに、愛しているといいながらのんびりとしている旦那さん。
思わずはたかれた頬の意味が解らず、めげないヒロにオーナー代理の溜息。
「微風」
エピローグ。
一夏のバイトで出会った人たちを思い出すのが凄く優しい。
全体的に謎とは言えない謎だったし、ヒロのお節介さ加減はちょっと目に付いたけれど、
出てくる料理とオーナー代理の二重人格、おばあちゃん達の大らかさと、沖縄ならではの文化でした。