佐々原 史緒, 倉藤 倖
暴風ガールズファイト (ファミ通文庫 さ 3-5-1)

【映画化!?(希望) 史上最強の美少女スポ根グラフィティ!

マリア様が見守る聖ヴェリタス女学院。
高等部に進学する麻生広海は、親友との別れによる喪失感と
何ら代わり映えのしない高校生活を前にすでに鬱屈していた。

ところが、そんな広海の前にちびっこい嵐、その名も五十嵐千果が現われて生活は一変!
高校ラクロス日本一を目指して嵐とともに立ち上がることに……っつーかラクロスってなによ??
ウチにそんな部あったっけ?  汗と涙のスポ根グラフィティ!】


気持ちいいほどのスポーツもの。
これだけ女の子ばっかりの小説なのに、意外や意外、熱血だ。
しかも私が嫌う熱血ではないことに喜んだ。

万年級長の主人公、麻生を視点に、
若干二重人格? 負けず嫌いのお嬢様、宮前雪乃。
大阪から転向してきた危険な長さのポニーテールは嶋あかね。
ゴールキーパーの経験がある男前な短髪は長谷川悠里。
中等部の3年(唯一の年下)で序列年功総無視の小坂。
高等部2年の先輩は大西くらら(ほわほわお姉さん)と黒田苑子(黒髪キツ目のお姉さん)。


ラクロスの本場アメリカ育ちの五十嵐千果は、条件に縛られながらも、たった2名で構成されるじゃく弱小同好会を立て直す。
大敗と言う悲惨な過去なはずなのに、そりゃあゴールなしで練習したら負けるって、と苦笑しつつ、
ハイテンションと物凄い行動力でずるずる引っ張って行っちゃう千果が凄い。

いつかバックれようと決意している麻生さんを巻き込んで、いつの間にかごまかしの手段になってしまっている新生ラクロス部。
どんな理由であっても受け入れるというのは面白い。
きっかけがなんであれ、人を動かして魅力を伝えるのは、それが好きで好きで堪らないからだと思う。

強豪テニス部との諍い、練習場の確保、個性的な部員、剥がれていく仮面。
大学生との試合。

もう試合の最後なんて鳥肌と涙でした。
意外と強かだった麻生さんも好ましく、ナプキンの柄から見られる人柄や、
それぞれの目指す心境、行ってしまった友人とのゆっくりとした会話。
広海嬢の黒さは大好きです。大好きですよ!

「来るなら来い! ぶっ倒せ! Here We Go!」のカラーページで買った身としてはよくやった自分と褒めたいです。
しかも「ぶっ倒せ」発言、お嬢様ですか……?
ラクロスで思い浮かぶといったら、猫の恩返しでの車に引かれそうになっている猫を助けたとき主人公が手にしていた奴か、
なかじさんのZIGZAG(白泉社)のサホのやっているラクロス。
まぁ、マイナーはマイナーだろうな。

続刊が早く読みたいなぁ。
下手に恋愛が入るよりかは、ぜひこのままで行って欲しいです。