霜島 ケイ
封殺鬼鵺子ドリ鳴イタ 1 (1)

酒呑童子に雷電、鬼を使役するのは陰陽師の「陰」の部分を担う一族の若き当主。
長いこと積読状態という憂き目にあっていたにも関わらず、
いやはや読み終えるのは早かった。

真術会から手紙を受け取ったにも関わらず無視をしていた神島家を、鵺が襲う。
それは偶然にも当主たる桐子が外出中のことだった。
一連の騒動から、相手を「敵」と判断した桐子は、鬼道丸と雷電を従えて本家・京都から東京に出る。

収拾をかけたのに集まらない鬼道丸は、途中で異界を行き来する釣り好きな青年と出会う。
一反木綿を追っていた挙句ずぶ濡れになり、遅刻確定なので諦めて、泊めてもらう。
今はもう家人すら分家に招かれていない、それでも神島の遠縁だとも知らず。



なにがいいって、従者2人と主の桐子との遣り取り!
可愛いったらないですよ、特に酒呑童子!
関西弁で真っ直ぐな馬鹿!(褒めてます。
逆に雷電は冷静な策略タイプなんですが、それを使役する桐子がまた可愛い。
ちゃん付けで呼ばれたからって鉄瓶を投げるなんて(笑)
桐子については―――これはなんと言えばいいのか、人に頼る必要がない子です。
頼らずとも立っていけてしまう子です。それでもって、悪意ではない踏み込みを拒絶出来ない子です。
その不器用さが非常に可愛らしい。
酒呑との遣り取りで年相応になると書かれている通り、
彼の気持ちのいいほどのバタバタは桐子まで伝染して場を解します。
それを止めるのが雷電だったり、我に返った桐子なんですが。


ストーリーとしては、真術会の宗主に近付いて取り入って会食まで持ち込んで油断させます。
そのあと、黒幕らしい人物が、酒呑と知り合った青年の弟を使って東京の分家に侵入します。
少年の悪夢を使って。これに青年、怒ります。わーいブラコン。凄いね。
ああでもおっとりとしたミキさんも当主に逆らう宇和野さんもよかったです。
リボンとか可愛い。ナイス、雷電。
いいなぁ桐子、可愛い、可愛い。この手の女の子はツボです。



戦闘シーンは静かな暴動。
あんまり血がびしゃーとか内臓どばーとかはなく、
鬼2人、キレイに戦ってくれてます。
しかし、使役に任せて桐子があんまりその才能をご披露できなかったのかなとも。

完全に≪続≫ですが、キリよく終わらせてくれてますので、
続刊を楽しみに待ちたいと思います。
これの前身――というか前シリーズ(?)があるらしいのですが、
未読でも十分に楽しめました。
長いといわれているのにそちらも読みたくなってきます。
………28冊、マジですか。

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