三田 誠, 安田 均
狼は惑わす―精獣戦争

精獣戦争第二弾。
前回は獅子と龍でしたが、今回は狼です。
ウルズ達が向かうのは湖の中の城。
ユガの獣はユガの獣だけに反応すると西方に向かいます。
城に座る王は夕焼けの力を持つ白仮面の男。

<白魔>からウルズ一行に差し向けられる刺客は、
精獣と人との混血をうちに持つ<死兇家>より、
頭領にして稀代の読み手・アルジャ、
長女にして精獣士のネヴィーヤ(精獣は月喰蟲)、
<歌>で相手を聞き惚れさせるシアラ。

<美帝>ご自身も向かいます。お話の中盤くらいから。
魚人相手に一方的な殺戮をしていますが、獅子はそこまで出ないかなぁ。
ウルズとの戦闘もないし。

だからこそ、主要3人が頑張ります。
ティカは顔面蒼白になりながらも≪運命≫を詠もうとするし、
ザクレフは「賭け」にのって何百年も前の黒騎士と戦うし、
ウルズはアルジャ&シアラと攻防。
「ひとつ言っておく。ザクレフを僕の部下というな」はよかった。
あくまでも親友で対等たる人物ってのがいいなぁ。
ザクレフのイラストはちょっとアレですが、身長180以上の筋肉粒々でです。
もう少し爽やか目に書いてくれてもいいじゃないか! ティカとなった場合どうするんだよ!

前回では結構やられっ放しのティカも自分の能力をふんだんに使って活躍してくれましたし、ザクレフを倒すことが「一国を落とすより難しい」ことが解ったしで、
よかったよかったウルズの独壇場じゃない、と一安心。

肝心の「狼」の出現が結構ギリギリまで伏せられてて、
薄暮の君の能力も含めて「おお」と思いました。
逆に皇帝とリィナイラは果たしてそれってどうなのよ。と思います。
狂気的な恋慕の関係、面白いですが目を抉るのは壮絶だ。



「―――呪いあれ。
お前にも。僕にも。黒衣のものにも。精獣戦争とやらにも。
理由もなく戦ってきたが、それを呪う程度の理由は出来た」

いやぁ、ウルズがちょこちょこカッコいい。
一瞬「え」と思いましたが、じんわりと広がります。
黒龍も魂を蝕んでいるようですし、短期決戦ですかね。
今度は森へ向かうようです。普遍の知恵持つ、生ける森へ。
呪いを成就するにも、知識が必要だろう、と。

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