有川 浩
クジラの彼

この作家さんに関してはもう、偏っていることを承知で書いています。
「野性時代」掲載時での感想も書いておりますので、二度目の表記。
当時との被った表現、若しくは矛盾している点など多々ございましても、広い心でお見逃しください。


表題作「クジラの彼」

「SWEET BLUE AGE」収録作品、再収録。
「海の底」の夏木大和の片割れ、冬原春臣。
顔はイイしなんでもソツなくこなす合コンの花形。
女性に気後れすることなく、如才なく、ばっさりと切ります。
お相手は中峯聡子さん。
冬原の上司の艦長が、聡子の友達の叔父で、人数合わせに借り出されました。
史上稀に見る優良物件、だそうですよ冬原さん。

あけすけに顔が好きと言う第一印象は好きでした。
冬原のヒット的には自分の乗っている艦を「クジラ」と評してくれたこと。
冷めているように見えますが結構、熱いです。

なんだかんだ言いながら、泣かせて泣いて、
いい勝負になったんじゃないでしょうか。
究極の遠距離恋愛。

電話もナシ、メールもダメ、来たと思った着信は外国から。

さてそんな聡子さん、陸上でも馬鹿上司のお付き合いをせねばなりません。
ピンチの時の頼みの綱は中々現れない。
そんな雰囲気はしませんが、よく我慢した人だと思います。
「海の底」のスピンオフ。



「ロールアウト」

「トイレをください」とゆーわけで、新しい機体への要望は、トイレでした。
幹部候補生? すいませんちょっと流し読みしても上手く見付かりませんでした。
「幹部」なのは確かです。えーと、高科さん。名前が素敵ですね。
開発部の新人・宮田さんがトイレ作りに奔走します(笑
ちょっと汚い言葉………まあ生理現象関係のお話ですから、当然ですけれど、意外でした。でも後書きでもっと意外なことを言っています。担当さんに感謝!
「告白の予告」をする最後が好きでした。
真面目に言い返す高科さん。

ヒットは「官が揺らいでいたら戦えない」らしいです。
宮田さん的には「援護は間に合いましたか」

自衛隊を書くときならではの書き方だと思います。




「国防レンアイ」


報われない男~。ノブシタさんv どんまい。
何気にいいものを着ている設定です。
いやでも、流石に吐かれるのは可哀想。
怒り方が凄い好きです。一気に読ませるあたり。
………あたしの早口の語源はコレか?
閨のことをこれほど書くのは珍しいなあと思います。
ま、年も年だしね。
北海道弁……かな? っしょいや、あたり、北海道弁だと聞いた気が……。


「有能な彼女」

大好き。
では次に行きましょう♪……………………すいませんごめんなさいちゃんと書きますとりあえず愛の告白をしたかったんです……!!(中身入りの缶は投げないでー

「海の底」の続編? つか付き合い→結婚。
プロポーズの仕方とタイミングを逃した夏木さん。
幹部だって良かったね。あっはっは~~。
あの問題児が、とか艦長が上で微笑んでるさね。

望ちゃんが怒ることを思い出してくれたのが嬉しかったです。
感動しました。冬原とじゃないのね、と思いましたが、これで納得。
望ちゃんのお相手は夏木さんだけだ。あいかぁらず会話には笑いました。
これに840円(野性時代掲載のとき)出そうかどうか本気で迷いましたが、
1470円でも、後悔はありません。(他の話の価値も含めて

自衛隊でも幹部でも有事の際の人材でも、人間なのです。
可愛らしくて、ヘタれてて、一生懸命で、一途で、カッコいい。
男性でも女性でも、変わりなく配られる、人間性でした。
結婚、おめでとうございます。




「脱柵エレジー」


隊が辛くなったわけじゃない。
ただ、恋人に会いたかっただけなんだ。

新人さんが主人公?と思ったら、説教をする方でした。
清田さんという方です。
なんのブレーキも踏まずにイイ女だなあと言う感慨を抱ける人でした。
何歳だろうと、何処の人であろうと、恋愛は等しく人を可愛くさせます。
毛布に来るんでホットミルクを上げて抱きしめてあげたいです。
「二杯目のココアがなくなるのも淋しい」
…………有川さんはもう、文が憎たらしいほど可愛いです。
ベタ甘好きでなにが悪い!(笑


ファイターパイロットの君
ドッグタグ! ドッグタグ!! ドッグタグ!!
裏話、おもしれ。グロイけど。

ミキさんが子供大のテディベアを背嚢にしまって走る姿を想像するだけで笑いが。
保育園のレジャーでドッグタグを必要になるほどの危険て、凄いね(にっこり

子供の「初めてのキスはいつ」(注:幼稚園の女のコ)という問いかけから、
タカミさん視点で回想に入ります。
初デート。甘いです。夏木も甘かったけど、特に起伏がないだけ、タカミの方が甘い。

有川さん作品の中で唯一の女性戦闘機乗り。(秋庭さんも居ますけどあれは男性
でも、子供を産むには1年以上離れなければいけない。
大概不利な立場に居るなあと思います。
1年をあげたことこそが愛情です。茜ちゃん、いい名前もらってよかったね。

冬原さんと違って、いいネーミングセンスをしていました。


図書館シリーズの感想:
2巻 図書館内乱
3巻 図書館危機

有川浩先生の他の作品の感想※別窓開きます。
海の底
塩の街
レインツリーの国
浅き夢みし/debriefing/恋愛のカミサマ※電撃hp、野性時代掲載の短編です。
ロールアウト/国防レンアイ/有能な彼女※野性時代掲載時の感想。クジラの彼と被ります汗