今から遡ること10年ほど前


私は20代後半の、まだ若くて元気な新米妻だった


夫も私も、いわゆる大企業に勤めており、


たまには美味しいものを食べたり、海外旅行に行ったり、不自由なく暮らしていた


子供ができない事実以外は...


思い詰めた私は、浅田レディースクリニック(ALC)の門戸を叩く


10年経った今でも、良いクリニックだと思う


しかし当時の私は若く、”若い卵であれば妊娠できる”というクリニックの主張は、


若かった私へ重いプレッシャーとなってしまい、


次第にそのプレッシャーが私の精神を蝕んでいた


検査をしても、何も悪いところは見つからなかった


ALCの方針で、人工授精は飛ばし、いきなり体外受精へと進んだ


クリニックは痛みに優しい治療をしてくれたため、自己注射や採卵は痛くなかったが


メンタルは崩壊寸前、ときどき発狂していた


頭から1秒も離れない


 “若いのに” 


 “なぜ私だけこんな苦労をしなくてはいけない?”


そして、


夫の様子がおかしかった


節約家で妻に優しかった夫は豹変し、


下戸にも関わらず飲み歩いて、浮気をし、私の出張中に突然500万くらいの車を買ってきた


夫は、離婚したいと言い出した


話し合いで、私を殺したいと言い出した


あまりにも様子がおかしいので必死で調べると


双極性障害(躁うつ病)の病状に当てはまるものばかりだった


ほとんど眠らず、夜中に走り出すなどの奇行など


 なんとか夫を助けたい私


 今すぐ別れた方が良いと勧める両親


 病気だと信じられない義父母

 

 すぐには治療をしてくれない精神科医たち


十分な数の高グレードの胚盤胞が凍結されたが、


小さな子供たちを見捨てて、離婚に踏み切った


胚盤胞を戻していたら妊娠していたんだろうか?


私はいつか妊娠できるんだろうか?


大きな、1人だけでは解き明かせない疑問を残して、私は独りになった