帝の家は一人暮らしの割に豪華といえる大きな家だった。
「いっつも思うよ。お前がこの内に住んでる理由がわからない。」
晴香が嫌味っぽく言った。
「仕方ないだろ。ここに放り込まれたんだから。」
帝自身、自分には広すぎると思える家だった。電気代や水道代は親が支払い、家具も一式揃っている。
―――変な目で見られるよな…。俺一人だと。
親はサラリーマンだが、ただのサラリーマンではなく、主に小説を取り扱っている出版会社の上層部に所属し、そこそこな給料を得ていて、家庭内は潤っていた。だが、帝にはそんな出来過ぎた家が気に入らず、一人暮らしをすると親に無理いって出て行った先が、この家だった。前は別荘として使っていたそうだが、かなり広いうえに豪華だ。これでは意味がないと、帝がシャンデリアなど、邪魔なものをすべて親のもとに送りつけ、一人で暮らしている。
「まぁ、家が広ければ、俺も存分に伸びれるしな。」
晴香が大きなあくびをし、ソファに寝転んだ。
「お前な、人のうちで勝手に伸びるな。ていうか、何しに来たんだよ。」
「決まってるだろ、お前の面倒見に来てやったんだ。」
「結局おれに夕食当番任せてるじゃねーか。それじゃ飯食いにきたのと一緒だろ!」
「ん、そうともいう。」
あっさりと認める晴香に、大きなため息を漏らして、キッチンに向かった。
―――夜風、早く退院してうちに来てくれ…。このバカ女だけじゃ心もとない。
心の中で夜風に応援を呼んだ帝は、夕食を作り始めた
帝は軽く見ていた。夜風の容態を