朝 ソファーの上で目覚める。
何か不思議な夢を見ていたような気がするが詳細は覚えていない。
体を起こし、ボンヤリした脳の状態のまま手を伸ばして本棚から「懐紙」を取理、そこに筆で「日」と書く。
日本の「日」
天照大神の象徴「日」
宇宙の原初のイメージ図「日」
墨が乾くのを待ってから、「日」と書いたの懐紙を持ち南の部屋へ向かう。
襖を開けると部屋の真ん中に布団が敷いてあり 猫 が寝ている。
猫 はピンクの寝巻きの上下を着て丸くなっている。
たまに布団を蹴り飛ばしたりしているが、今日はちゃんと被っていて端から黒い頭だけ見えている。
僕に気付いたのか「ニャア〜」と小さく鳴くが、起き上がるわけでもなく、こちらに振り向くわけでもない。
猫 の睡眠時間は長いのだ。
僕は 猫 を起こさないよう気を付けながら窓辺に行きカーテンを捲ってガラス戸の向こうのお日様を見上げる。まずは声を出さずに「おはようございます」と挨拶する。そして手を合わせ両手の親指と人差し指の間に先ほど書いた「日」の懐紙を挟み朝のお祈りをする。
「お陰様で昨日も元気に頑張ることが出来ました。ありがとうございました。今日も頑張りますのでどうか引き続きお見守りいただけますよう、よろしくお願いいたします」
そして小さく一礼してから「日」を書いた方を内側にして懐紙を折り畳む。
ちなみに書いた「日」は誰にも見せてはいけない。
この懐紙は今日一日だけのお守り。
その日着るシャツの胸ポケットにしまっておく。
カーテンを元に戻し 猫 が寝ている南の部屋から出て行く。
気付いているのか、いないのか分からないが 猫 はピクリとも動かない。
それからトイレを掃除して、床掃除をする。
(たまに忘れることもあるけどお許しください)
つづく
