湾岸ミッドナイトに憧れて![]()
たしか1992年の秋頃だったと思います。
1991年モデルから発売された、新型ポルシェ911ターボ(通称964ターボですね)をご所望のお客様がいらっしゃいました。
春頃から商談を進めており、オーダー枠が確保できれば受注という所まで詰めておりました。
しかし、悲しいかな、弱小地方ディーラーの願いは叶わず(既に初期ロットで1台はもらっていたのですが)追加オーダー枠はもらえませんでした
まだまだガキのセールスマンでしたが、せっかくの商談を取りこぼす訳にはいかないと考えました。
そうだ中古車を売ろうと
当然964ターボの中古車などありません、M自動車認定中古車で見つけたのは紺Mの88モデルのターボでした。
もちろん、乗ってみたいという好奇心が背中を押します。
「すみません、商談があるので貸して下さい」と目黒に電話を入れ、約束の日に六本木ショールームへ借りに行きました。
担当者から、「帰り気を付けろよ、浜崎橋のコーナーは特にな!」と今ではあまり聞かないフレーズを耳に後にしました。
残念ながら商談は決まりませんでした。
当たり前の事ですが、車が違いすぎますよね
89モデルならいざ知らず、88モデルは4速MTでABSも無し、まんま930ターボというやつですよ
後は楽しむしかありませんよね
ガンガン乗りましょう!
車屋の後輩を助手席に乗せてあげました。
どうだ、スゲーだろ、速ぇーだろー
そしてフルブレーキング。
ABSがついて無いの忘れてました。
キョパー、姿勢制御ができずに進行方向に対し斜めにフルロック
ワイルドだぜい
今も連載が続いておりますが、楠みちはる先生の湾岸ミッドナイトを愛読しておりました。
ブラックバードVS悪魔のZです。
自動車雑誌のオプションやカーボーイなどでトラストやRE雨宮、HKS、WESTレーシングなど数々のチューニングショップが湾岸で楽しんでいた時代です。
よし走りに行きましょう
一人じゃ寂しいのでお気に入りの女の子を誘います。
ポルシェで夜の湾岸走りに行こうよ
市川PAを目指し、911ターボを駆り、夜のハイウェイを走ります。
気分いいっすね
25歳の田舎の兄ちゃんが、品川ナンバーの911でドライブですよ
到着し、缶コーヒーを飲みながら市川PAのどこか緊張感のある雰囲気を味わい、ドライブ再開です。
そこそこのスピードで走りますが、速そうな後続車には車線を譲ります。
借り物を壊したら大変だし、ツレもいますしね
それでも、32GTRやスープラ、FDなどポルシェと見るやガンガン煽ってきたり、パッシング攻撃を受けますがセーフティドライブです![]()
しかし、それまで見えていなかった恐怖が、次第にリアルになり視界に入ってくるようになりました
ガ、ガソリンが
FUELゲージのEを針が指しつつあります。
ポルシェを乗り回していても、その実態は薄給のセールスマンです。
当時の携帯電話の基本料金3万円に四苦八苦しているのが現実です。
自宅を出る時のLVの財布の中身は1万5千円程度、往復の高速料金を考え出発前に給油したガソリンはハイオク5千円分。
計算上、リッター6km走れば余裕を持って帰ってこれる予定でしたが、想像以上に燃費が悪いです。
結構なハイペースで走れば当然なのですが・・・
リッター3~4kmくらいですね
完全に帰りの分のガソリンはありません。お金もありません。
女の子にも言えませんね、カッコ悪いんで
途方に暮れながら3000rpmキープで流していると
が
「今、どこにいるの?」と友人からです。
「湾岸から環状線に向かってる!」
「都内にいるの?じゃあ俺も行く!」
助かりました
深夜3時頃なぜか渋谷で待ち合わせ
軽く食事をし、借りたお金で給油をし無事帰路へ。
彼女も楽しんでくれましたし、最後はハッピーエンド
それじゃまた(^-^)/
