で、今後どうなるかというと。 | 紺ガエルとの生活 ブログ版日々雑感 最後の空冷ポルシェとともに

で、今後どうなるかというと。

で、今後どうなるんですか、という質問をコメント欄で頂きましたが。


基本、変わってないでしょ。

というか、まだまだ酷くなるよ。残念ながら。


リーマンショックが9月半ば。

通常、企業が実体経済の悪化を感じ取って雇用調整を行うまでには、タイムラグがあるので。

個人消費に本格的な影響が出始めるのは、ここからが本番。


ここ1ヶ月ぐらいでしょ?テレビでやたらと「非正規雇用者問題」が語られ始めたのは。

そして、まだ実際には影響を受けていない人たちも、財布のひもを締め始める。


10月の失業率は、予想外の3.7%と、前月の4.0%から改善したが。

有効求人倍率は、0.80倍と前月比-0.04、前年同月比-0.10。相当の悪化。


非正規雇用者の割合は、ここ10年で10%以上増加。

98年の23.6%から08年は34.5%。

(厚生労働省 労働力調査 http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/zuhyou/lt51.xls  )


以前と比べて解雇しやすい非正規雇用者の割合が高いので。

かつての不況よりも、失業率が急上昇する可能性が高い。

そうなれば、個人消費がさらに冷え込む可能性が強く。


マーケットって、個人消費のさらなる悪化をまだちゃんと織り込んでない。

たとえば。

CDSで、個人消費に影響を受けるセクターが、不自然にタイト で。

ヘッジのニーズが少ない、という完全な需給要因なのだが。

小売りセクター、たとえば伊勢丹や、個人向け売上の比率が高い総合電機、たとえばパナソニックやソニーの

スプレッドがトヨタよりもタイト、なんて超不自然。


ここから債券の価格も、もっと下がるでしょ。


(ちなみに。

アイフルから18%の金利で金借りて。

アイフルの社債買えば、ポジティブキャリーで儲かりますから。)


身近な例で言えば。

ガソリン代、大幅に下がったのに。

クルマの数、全然増えない。

この前の金曜日の夕方、流石に首都高混んでるだろうな、と思ったけど。

すいすい走れたよ。


昨日土曜日の夕方の環七も。

全然混んでなくて、超びっくり。


もしかしたら、ガソリン代高かったときに。

クルマなしで生活してみたら、案外問題なくて。

みんな、(東京では)クルマに乗らなくても生きていけることに、気づいちゃったのかも。


景気のいい間に、日本経済が贅肉をそぎ落としたか、というと、全然そんなことはなく。

スリム化したのは、労務費だけで。

2005年から2007年の間に、株式の持ち合いは5兆2100億円も増え

株価が高い間に、持ち合い解消を進めて株価の下落に対して抵抗力をつけるというのがまっとうな考えのはずだが。

自らの保身を優先させた経営者は、敵対的買収を恐れて馴れ合い、持ち合い強化。

失われた10年の学習効果、全くなし。


サブプライム問題は対岸の火事だから、アメリカ人馬鹿じゃないの、ぐらいの勢いだった日本だが。

日経平均の下落幅は、アメリカ株よりも断然大きく。

アメリカは、基本的に銀行の株式保有を厳しく制限しているが。

そうでない日本では、引き続き信用創造が株価によって大きく影響を受ける。


株価の下落で銀行の自己資本の目減りが大きく。

銀行の貸出余力が減退しているのに。

CP市場が機能しないため、優良企業ですら銀行貸出に頼らざるを得ない状況で。

中小企業に対して融資を増やす余裕はなく。

当然、景気に対する下押し圧力。


優良企業の信用スプレッドが拡大を続けている(=債券価格が下落)、ということは。

優良企業向けの貸出に対する、リスクプレミアムが上昇しているということで。

今後の信用状況のボラティリティが大きくなることと、倒産確率の上昇を市場が予想しているわけで。

そんな環境の中で、株価が上がるわけもなく。


何度も言うけど。

景気が回復するときは。

バランスシートの修復が進んで、まず信用スプレッドが改善して。

それから、株価が上昇するわけだから。


株式は、企業の剰余価値の分配を受ける権利なので。

借りた金返してからでなければ、当然に分配を受けることは出来ず。

債券価格の下落、信用スプレッドの拡大が続いているうちは。

貸した金返せる可能性が低下している、ということなので。

剰余価値の表象たる、株価が上昇するわけがなく。


だから、信用スプレッドの改善が見られないうちに、株価が上がるなんてことはあり得ない。

アメリカなんて、主要な金融機関は実質政府保証されているのに。

信用スプレッドは、高止まりしたまま。


日本は。

Liborですらも、超高止まりしたままだし。

CDSインデックスだって、300台前半。

CDSインデックスを構成する50銘柄の単純平均(=インデックスの理論価格)は、400台半ば。

そんな中、株価が上昇するわけないじゃん。


円金利は。

銀行が資本不足なので、リスクキャピタルを張れないからなかなか低下しないだけで。

資本不足だと、貸出を絞らざるを得ず。

リスクウェイト0%で、含み損を資本控除しなくてよいJGBのキャリーから収益上げたくなるのは、目に見えていて。


円キャッシュにしとくか、円債買うべきでしょ。


大恐慌で、鉱工業生産が元の水準に戻るには、12年かかった。(1929年から1941年、ただし戦争という特需があったのを忘れるべからず)

日本のバブル崩壊の時は、10年間が失われた。


仮に今回、3倍の早さで回復したとしても、3年から4年。

2倍だとすると、5年から6年。


大恐慌よりも実は今回の方がより大きな衝撃だったとすると…。

あまり考えたくありません。