中学時代の息子には、友達は殆どいなかった。
勉強もしなかった。

    話す相手もいないし、何の為に勉強するのか分からんし、学校には行かん!


登校するよう諭す日々だった。


勉強はしなくてもいい。
でも登校することにより、大人社会の縮図である学校で生きるすべを見つけて欲しかった。


中学2年生の春、息子が突然、
   
     俺、ボランティアに参加するわ。
     先生が今のままだったら、何処の高校もいけんて言ってたわ。
     中卒はいやや言うたら、先生がボランティアに参加したら、内申点が上がるって教えてくれたんや。


ボランティアとは純粋な社会奉仕であるのに、本当にすいません。
でも親父としては嬉しかった。
初めて自ら動き出したことに。


私利私欲にまみれた親子は、毎回海岸清掃のボランティアに参加した。
多くの参加者がいる中、神様に息子の高校進学を祈りながら、せめての罪滅ぼしに人が嫌がる汚い場所を率先してゴミ拾いをした。


中学3年のある日、
        俺、水産高校にいくわ
と突然言い出した。
訳を聞くと、
    この前のボランティア、水産高校の   先生という人から声掛けられたんや。
     君毎回参加して、頑張っているねて。
     俺が3年であることを伝えたら、来年おいでよって言ってくれたんよ。
      あの先生、船の機関科の先生らしいんやけど、俺、将来機関士になるわ。


人は、自分を認めてくれる人を大好きになるらしい。
単純な動機だけど、それでもいいんだよ。
単純な生き方ほど、簡単に出来るもんじゃないんだから。


その後、息子は自ら勉強を始めた。


そして、水産高校の推薦が貰えた。


推薦面接の日、あの日の先生だった。





・・・涙の合格通知



人生って、本当に不思議です。
偶然の出会いが、大きな変化に繋がるのですね。