今日は、所沢市田中則行です。先日、日野自動車でエンジンの燃費と排出ガス等の不正データが発覚されたとのニュースがNHK総合テレビの正午のニュース番組で報道されました。日野自動車はエンジンの排出ガスや燃費などについての不正なデータを国に提出し、生産に必要な認証を取得していたことを明らかにしました。排出ガスの濃度が法律で定められた基準を満たしていない恐れがあると言うことで3種のエンジンとこれを搭載する車両の出荷を停止したとしています。

(NHKニュースWeb 及び NHKニュース防災サイト・3月4日18時42分報道より)
日野自動車では4日午後、下義生会長と小木曽聡社長が出席して記者会見を開き、製造する3種のエンジンで排出ガスや燃費についての不正なデータを国に提出し、生産に必要な型式認証を取得していたことを明らかにしました。この内、中型車のエンジンについて長時間作動させた上で排出ガスの数値を計測すべきにも関わらず部品を途中で交換し試験を行っており、排出ガスの濃度が法律で定められた保安基準を満たしていない恐れがあると言うことです。また大型車のエンジンでは燃費の性能が基準を満たしていないことが判明し不適切な機器の設定により燃費の測定を行うことで実際よりも燃費が良いように偽っていたとしています。何れも担当者が試験の際に排出ガスや燃費などが性能を満たさないことを把握し、不正であると認識した上で不適切な手順を踏むなどしたと言うことです。この他に不正なデータを提出したかは明らかになっていませんが、小型車のエンジンでも燃費の性能が基準を満たしていないことが判明されたと言うことです。

確認された不正を踏まえ、日野自動車では3種のエンジンとこれを搭載する車両の出荷を停止したとしています。不正なデータの提出について同社は平成28年以降に販売されたエンジンについて確認されているとしていますが、それ以前のエンジンについては今後調査を進めるとしています。小木曽社長は「会社として重く受け止め、お客様に大変なご迷惑をお掛けすることを心からお詫び申し上げます」と述べて陳謝し、事実関係の詳細な調査や再発防止策の検討、それに販売済みの車両についてリコールの必要性の判断などを進めていくとしています。



◆不正の背景は“現場のプレッシャーに対処していなかったこと”
不正が発覚したことを受け下会長と小木曽社長は4日に都内で記者会見し、小木曽社長は冒頭で「お客様を始めとする様々な方々へ多大なるご迷惑とご心配をお掛けすることとなり、深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」と陳謝しました。その上で小木曽社長は「現場に於ける数値目標達成やスケジュール厳守へのプレッシャーなどへの対応が取られてこなかったことが問題の背景にあると考えており、経営として非常に重く受け止めている」と述べ、現場のプレッシャーに十分対処していなかったことが不正の背景にあると言う認識を示しました。その上で今後、外部の有識者による特別調査委員会を設置し全容解明を急ぐと共に組織の在り方や開発のプロセスも含め再発防止策を取りまとめる方針を明らかにしました。また同社は不正が確認されたエンジンを搭載している中型トラック『日野・レンジャー』と大型トラック『日野・プロフィア』、大型観光バス車両『日野・セレガ』の3車種を当面の間出荷停止するとしています。これらの車種は国内販売の35%に当たると言うことで、小木曽社長は「社内で様々な工夫を行い、雇用への影響を極力なくすようにしていきたい」と述べました。一方で今回の不正を受けた経営責任については下会長が「目の前のことをしっかりやっていきたい」と述べた他、小木曽社長も「会社のどこに問題があったのか、調査を継続し責任についてはこうした対応に総力を尽くしていくことだと考えている」と述べた上で再発防止に取り組むことで責任を果たしたいと言う考えを示しました。



◆日野自動車株式会社とは
1910年に創業、東京都・日野市に本社を置く日野自動車株式会社はアジアや北米市場を中心に世界各国で90を超える国や地域に展開するトラックメーカーとして知らしめています。東京都・羽村市や茨城県・古河市などに工場を有し、小型から大型まで様々な種類のトラックの他に観光バス車両や路線バス車両、ディーゼルエンジンを生産、1966にトヨタと業務提携し、その後2001年に子会社となり、トヨタ車の受託生産も行っています。

昨年度は約1兆5000億円売り上げを達しています。日本自動車販売協会連合会によりますと国内の昨年の大型トラックと中型トラックの販売台数は日野自動車が3万1997台で37%のシェアを上げています。一方、一昨年には日本国内で製造したエンジンが米国の規制基準を満たさなかったとして米国とカナダの各工場でトラックの生産を停止していました。



◆自動車業界に於ける過去の不正事例

自動車の燃費や排出ガスに関わる検査や試験を巡っては過去にも何件もの不正発覚が明らかになっています。三菱自動車工業では6年前の平成18(2016)年に実際よりも燃費を良く見せようとして意図的に不正な操作を行い国に提出するデータに手を加えていたことが発覚されています。これらの不正で売上高が大幅に落ち込んだことから仏国・ルノーと連合を組む日産から34%の出資を受けて事実上の傘下に入るきっかけになりました。同年にはスズキ株式会社でも燃費のデータを測定する際に国が定める走行試験を実施せず、装置ごとのデータを積み上げて検査機関に申請する不正を行っていたことが発覚されています。

不正が相次いだことを受けて道路運送車両法が改正され、メーカー側が国に虚偽の燃費データを申請した場合にはその車両を事実上販売できないようにするなどの罰則が強化されました。その後も不正が続き、平成30(2018)年には株式会社SUBARUが燃費と排出ガスをチェックする際に国が定めた基準に沿わない形で測定するなどと言った不正を行っていたことが明らかになっています。同年は他にも日産で排出ガスのデータを社内基準に合うよう書き換えていた不正が発覚したのに加え、スズキやマツダでも国が定めた基準を満たしていないデータを使うなどと言った不適切な検査が相次いで明るみになりました