今晩は、所沢市田中則行です。昨夜10日のNHK総合テレビ大河ドラマ『青天を衝け』第30話「渋沢栄一の父 の巻」のあらすじと今週の渋沢栄一を解説します。
[第30話あらすじ]
大阪の造幣局に出張した栄一(吉沢亮さん)は五代友厚(ディーン・フジオカさん)と出会う。栄一はこれまでの恨み言をぶつけるが、カンパニーを立ち上げて日本の商業を魂から作り変えたいと言う五代の話に共感する。一方、新政府の首脳会議では突然、西郷隆盛(博多華丸さん)が“まだ戦がたらん”と声を上げる。井上馨(福士誠治さん)は“廃藩置県を断行せよ”との意思表示と理解し、栄一達に極秘の任務を託す。残された時間は僅か4日…そして冬のある日、帰宅した栄一の元に父・市郎右衛門(小林薫さん)の危篤の知らせが届く。





◆今週の渋沢栄一 (第30回)

◾大阪の造幣局に出張し、新しく流通させる硬貨の品質を確認する。大阪で商いをしている五代才助や三井組番頭の三野村利左衛門と再会。三井の歓迎の宴に参加し、五代と語り合う

「おはんが渋沢さんか?ほんのこてようやく会えもしたな。噂を聞いて、どげん人かち思い浮かべちょった」 (五代)

「渋沢様。この三野村、一目お会いした時からきっとあなた様は新政府に入り用なお方だと思っておりました」 (三野村)


「金は政府や大商人の間だけで回るもんじゃなか。もっと広く民を豊かにせねばならん。おいはこん商いの町でカンパニーを作って、日本の商業を魂から作り変えようち思うちょ」 (五代)




◾新政府の基盤を作るため“廃藩置県”を内密に速やかに進めるべく、改正掛の皆は寝る間も休む間もなく働く。各藩の財務状況を全て洗い出し、藩士達が生活していくためにはいくら補償すべきかを期限内に纏める

「士族達は藩を失い、どう禄を得るのです?これを明確に提示せねば暴動となりますぞ。上に立つ者は命を下す時、先ずそれを受ける民のことを考えねばなりませぬ」 (栄一)


「藩札は…廃藩と同時に無くするしかない。全て太政官札に取り替えよう」 (井上馨)

「古今東西、争いの多くの原因は金だ。旧大名や士族達の不安を取り除けば、無駄な争いは避けられる」 (栄一)



■明治4(1871)年7月14日、全国に約260あった“藩”は廃止、代わって“府”と“県”が置かれると周知されました



◾父・市郎右衛門が危篤と聞き、直ぐ血洗島に帰る。最後に父と話をし、看取る

「俺は、もう心残りはねぇ。俺は、この渋沢栄一の父だ。こんな田舎で生まれ育った己の息子が、天子様の朝臣になると誰が思うもんか。お前を誇りに思っている」 (市郎右衛門)


「とっさまは、俺が家を出てからの長い間も畑を耕し、藍やお蚕様を売って、村のみんなと共に働いてきたんだな」 (栄一)







青天を衝け紀行
◆第30集 埼玉県・深谷市

埼玉県・深谷市。華蔵寺は渋沢家の菩提寺です。華蔵寺の当時の住職が栄一の父・市郎右衛門を弔ったと言います。
東の家(ひがしんち)の三男に生まれ、中の家(なかんち)の婿養子に入った市郎右衛門。藍玉の製造・販売や養蚕を行い、中の家を繁栄に導きました。
『晩香遺薫(ばんこういくん)』は、市郎右衛門が書き残した書を後年、栄一が纏めた本です。

※晩香:市郎右衛門の雅号

学問を好み教育に熱心だった市郎右衛門は、子供達一人一人に習字の手本を書き与えていました。そこには男女の隔たりなく教育を行った市郎右衛門の先見性を窺うことができます。

実直に生き、中の家を守り続けた市郎右衛門は、血洗島から栄一の活躍を見守り続けました。




◆華蔵寺 (埼玉県・深谷市)
交通アクセス:JR高崎線・深谷駅下車 路線バス利用、中の家停留所下車 徒歩20分





次回10月17日は第31話「栄一、最後の変身 の巻」が放映されます