今晩は、所沢市田中則行です。本日のドコモdメニューニュース及びヤフーニュース内の週刊朝日AERAdotにて元埼玉西武ライオンズ投手で同球団監督の経験もある東尾修さんが語る野球関連記事が取り上げられました。東尾さんが語る昨今の投手の傾向に苦言を呈するその“野球伝説”とは─

(ドコモdメニューニュース及びヤフーニュース内 週刊朝日AERAdot・8月1日報道発表)
どのメディアを見ても、プロ野球の話題は打者ばかりとなっている。そりゃそーだ。巨人・岡本和真、ヤクルト・村上宗隆など若くて才能あるスラッガーが増えている。以前も指摘したが、各球団の4番打者が本塁打も量産している。



飛ぶボールなのかと言う指摘もある。実際にプレーしている選手にしかわからないことだろうが、「打高投底」の現象が出ると必ず議論される。



テレビや解説者として球場で試合を見た時に感じるのは、打者のスイングが強く大きくなっていると言うことだ。ファンの方もそう思う筈。クリーンアップを打つ選手だけではない。コンタクトヒッターでも「強く振る」ことができている。以前のように「ちょこんと」当てて打つヒットよりも、しっかり振り切る選手が増えている。



一方で投手はどうか。体全体を大きく使ってダイナミックに投げると言うよりも、セットポジションからバランス重視で投げる投手が目立つ。頭上に振りかぶるワインドアップか、胸の位置で動き出すノーワインドアップかはどちらでも良いが、走者もいないのに最初からセットポジションを選択する投手が増えすぎている。



そのセットポジション。右投手なら左足を上げた際に軸足となる右足でしっかりと立てる。つまり安定すると言うこと。しかしそれでは体を大きく使う形にはならない。セットでも殆どパワーの出力は変わらないと言う意見もある。ただ、最初から「安定性」を重視し可能性を消していないか。打者がどんどん「強く、大きく」なっていくのに対し、投手はどんどん「こぢんまり」となっている。



若い投手こそ、体を大きく使うことを目指してもらいたい。20歳代前半の投手が安定を求めてどうする。体のどこを鍛えればもっとダイナミックに投げらルのかなど、見つめ直してもらいたい。30歳前後になって完成された投手がどう投げようと構わない。体を大きく使う中でバランスを探る。その作業を捨ててしまってはスケールの大きな投手にはなれない。



ヤクルトのドラフト1位の奥川恭伸、千葉ロッテのドラフト1位の佐々木朗希などは今季中のどこかで1軍デビューするのかも知れないが、どういう形で首脳陣は取り組ませているのか、「スケール感」は大切にしてもらいたい。



打者はバットと言う道具も進化する。だが投手は自らの体で投げるしなかない。巨人・菅野智之と言った球界トップの投手が何故フォーム改造に取り組んだか。あれだけ実績ある投手が現状に満足していない。その姿勢を見て若い投手は何を感じるのか。



コロナウイルスの影響で開幕当初は先発投手に無理はさせられない。既に開幕から1ヶ月が経過した。もう制限はいらない。開幕から登板試合で100球以上を投げ続いているのは菅野と、パ・リーグでは湧井秀章くらいだ。



自分に制限をかけてしまうと、その範囲内でしか動けなくなる。打者はどんどん若くて生きの良い選手がチームの主力を張っているのに対し、投手はどうなのか。直ぐに名前が挙がるのはオリックス・山本由伸くらいだ。





■東尾修 (ひがしおおさむ)
昭和25年生まれ。昭和44年に福岡西鉄ライオンズに入団し、埼玉西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。埼玉西武監督時代(平成7~13年)に2度リーグ優勝