子供の近視進行はとても気になりますね。
遺伝的要因と環境要因が原因と言われています。
片親だけの近視でも影響するとされ、両親とも近視が強ければさらに確立が上がります。
遺伝的要因に抗うことはできないので、環境要因から何とか進行しないようにできればと、盛んに研究がされています。
最近、日本眼科学会が「学童期の近視進行抑制に関するEBM」という総説を発行したので、要点をまとめてみます。
まず、なぜ近視予防が必要か?ですが、近視進行とは眼球の奥行が伸長することです。病的に近視が進行すると眼球の過度な進展により網膜や脈絡膜に病的変化が起こり、黄斑変性、網膜剥離、緑内障などになるリスクが高まります。
つまり、小児期の今の近視を防いでメガネをかけずに済む目的ではなく、将来の病気の予防のために必要ということです。
では、なぜ近視になるかというと、角膜と水晶体で屈折した光が網膜の後方で焦点を結ぶ状態(デフォーカスといいます)になると、焦点を合わせようとして眼球の伸長が起こることに起因します。
現在では近視進行は、この網膜後方へのデフォーカスが眼球の過伸展に原因があることが定説となっています。
したがって、現在研究が進んでいる近視進行治療もこのデフォーカス状態を改善させることが目的となっています。
それでは実際の治療法を提示します。
1.累進屈折力眼鏡、特殊非球面レンズ
あまり効果は期待できず
2.マルチプルセグメントレンズ
レンズの中心周囲に微小レンズを400個組み込んで網膜の前方に別の焦点を作る眼鏡。香港と中国ではHOYA社のレンズがすでに市販化されています。日本ではまだ。
3.コンタクトレンズ
簡単に言うと多焦点のコンタクトレンズで網膜後方へのデフォーカスを軽減させる。日本ではまだ。
4.オルソケラトロジー
これもコンタクトレンズですが、就寝中に装用して角膜の形状を変化させ、後方デフォーカス改善効果を期待するもの。
信者の眼科医もいるが、私は合併症などの観点からおすすめしません。
5.低濃度アトロピン点眼
薬理作用により眼軸長の視覚制御を無効にする説が有力とされています。副作用の出にくい0.01%の濃度にした点眼薬は自由診療ですが扱っている施設が多いです。論文によって効果のばらつきがあったり、中止によるリバウンドがあるともいわれていますが、治療の中では最も導入しやすいのではないでしょうか。
6.屋外活動
原始的ではありますが、現在のようにお子さんの近業作業が多いと近視が進行します。外でたくさん遊んでちょうだいということです。
7.サプリメント
某医大から、クチナシ由来の色素成分「クロセチン」が近視進行を抑制するとの研究成果が発表されています。
ネットで購入可能なのでやれることは何でも試してみたい方には良いかと思います。
いろいろ列挙しましたが、結論としてはこれだ!という確実な方法はまだありません。
今後の研究がさらに発展することを期待しましょう。
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