「敦ねぇ!
ラッパッパの部室に行ける階段の周りで2年のラッパッパが争ってましたよ
敦ねぇ助けに行かないですか?」

ついさっき飲み物を買いに行くと出て行っただるまが息を切らしながら帰ってきた。
手には何も持っていない。
買いに行く途中にラッパッパとトワイライトが争っているのを見かけて急いで戻ってきたようだった。

「今回私達は手を出しちゃいけないんです。
それに私はケンカをするつもりもありません」

そう言って開いていた教科書に視線を戻した。
前田は今日は参考書ではなく教科書を眺めている。

「だるま
諦めろよ
前田がこう言ってんだからよ」

ヲタがだるまの肩を諭すように軽く叩いた。

「ケンカに関してだと前田よっぽどのことがない限り多分行かねえぜ」

ウナギは美味しく焼けたホルモンを頬張る。

「それよりよ
お前らさ今ラッパッパの部室を占領してる奴らいるだろ?
あいつらこの前の入学式で見かけたか?」

「そう言われてみれば見たことねぇな」

ヲタは学校に来た時にトワイライトの3人を見かけたが3人とも入学式の時見た覚えがなかった。
ヲタはその時いた新入生の顔を一通り覚えた自信があった。
他の4人も同じだ。

「だろなんか怪しくねぇか」

「言われてみればそんな気はする」

「ただ来んかっただけやろ
入学式の時、空席いっぱいあったやないか」

ついさっき落ち込んでいただるまがそう言いながらちょうど食べ頃のホルモンに箸を伸ばす。
しかし、しかめっ面のムクチに手を叩かれて残念そうに手をさすりながら引っ込める。

「そんなわけないだろ」

実際はだるまの言うことに間違いはなかった。
確かに入学式の時来なかった新入生はたくさんいた。
しかしだるまに訂正され反射的にヲタは頭を叩いてしまった。

「いってぇなぁ
叩くことないやろ」

頭をさすりながらヲタ見た。
本当に痛かったようだ。

「う、うるせぇ
良いだろ叩いたって
減るもんじゃねぇし」

「減らんけど叩かれたら痛いわ
そんなにいつも叩かれたら頭へっこんでしまうやろ」

「へこむかよ
お前の石頭が」

その時、前田が急に教科書を閉じ教室を出て行った。
まだ下校する時刻ではない。
教室ではクウキと呼ばれる数学の教師が授業をしているが聞いてる人は1人も居なかった。

「敦ねぇ待ってくださいよ
どこか行くなら声かけてくださいよ」

だるまは急いで荷物を持って前田を追って出て行った。

「はぁ…やっぱりあいつ金魚のフンみたいに前田の後追って行くよな」

ムクチが何も乗っていない金網にホルモンを人数分乗せる。

「そう言えば今日あいつ来てねぇよな」

「あいつ?」

「金魚のフンのフンだよ」

「あぁ…そう言われてみればそうだな
学校怖くなって不登校じゃねぇの
あんななりだし」

「かもな」

アキチャがまたホルモンを乗せる。
金網の上にはホルモンが隙間なく敷き詰められた。

「おい。なんかだるま帰ってきたぞ」

ウナギの指差したドアを見ると行きとは違い下を向いて元気をなくしただるまが入ってきた。

「おい!だるま。どうしたよ
もしかして前田に嫌われたか?」

「違うけど…違わん…」

だるまは肩を落としながらホルモンの輪に加わった。

「今日の敦ねぇ、なんか冷たいんだよ
俺がついて行くって言ったら来るなって怒鳴るんだよ…」

「おめぇがしつこいから前田に愛想つかされただけじゃねぇの?」

ウナギがホルモンをひっくり返す。
下になっていた部分はこんがりと美味しそうに焼けている。

「敦ねぇに限ってそんなことねぇよ
でも…最近敦ねぇ変なんだよな…」

「確かに今日の前田は変だったよな」

「いつもなら最後まで授業受けてから帰るはずなのに途中で帰っちゃったしな」

バンジーがホルモンをひっくり返す。
まだ半生だ。

「あぁ、もうやけ食いだ!」

そう言うとだるまは金網に乗っているホルモンを全部掻き込んだ。

「おいだるま!」

ヲタの声はいつもの軽い口調ではなく尖っている。
顔を上げてみると他の4人がだるまを睨んでいる。
目つきはキツい。

「お前覚悟は出来てるよな」

ヲタは拳を強く握りしめている。

「えっ…な、なんのことかな?」

身の危険を感じてゆっくりと後退り輪を抜けようとすると誰かが腕を掴んでいるのに気付いた。
誰が掴んでいるか確認すると、
ムクチだった。
ムクチは手を掴むが相変わらず何も話さない。
しかし眼からは逃げるなと言わんばかりの視線を感じる。

「逃げるんじゃねぇぞ
だるま!」

「ギャァァァァァ…」

教室にはしばらくだるまの叫び声が響いた。


………………………………………
また1ヶ月ぶりの更新です
結果が良かったらまた更新出来ると思います。

感想お願いします。
優子と篠田の決闘が終わり、日の暮れ始めた頃、マジ女の三階の奥の部屋、軽音楽部の部室の前に狐のお面をした少女が立っていた。
部室の中からは演奏している音ではなく他愛もない話し声が聞こえてくる。
少女がドアを開け中に入ると部室には30人近い生徒いて、その目が一斉に少女に対して向けられた。
少女の1番近くにいた生徒はすぐさま少女に対して拳を突き出す。
しかしその拳は空を切り、生徒はお腹を押さえ床に倒れむ。

「なんの用だよ、お前!」

少女は答えず無言で椅子に座っている梅田を指差すと手招きして挑発する。

「ほぉ…話さないつもりか
ここにいる全員を相手にしないで私とやろうと、良いだろう。相手してやるよ」

「良いの?彩佳。
私たちがやるよ」

増田が梅田に言う。

「いや、いい…私がやる」

梅田が立ち上がると互いに睨み合った。






日がもうとっくに沈み、雲の隙間から見える満月の光に照らされ優子は目を覚ました。
体を起こそうとすると体中に痛みが走る。耐えきれず再び倒れ込んだ。
優子はふと篠田に負けた事を思い出す。

「畜生!!
私はまた負けたのか…」

周りを見るとそこはさっき倒れた場所ではなかった。
篠田の命令で優子は地面ではなく神社の軒下に運ばれ寝かされていた。
優子の心は悔しさでいっぱいになる。
負けたこと、そして負けた相手に情けをかけられていたこと。
優子の頬には一筋の涙が流れる。
我慢出来ず唸るように泣き出した。
しばらく経って落ち着くと遠くから物音が聞こえてくる。
無理やり体を起こし音のする方を向き目を凝らすと何か見えた。人影だ。
月の光に照らされて見えたのはマジ女の制服を着ていて髪の長い女性だということ。
人影はゆっくりと優子に近づいてくる。

「誰だ!お前」

優子はケガしていることを気付かれないように声を張り上げ近づいて来ないようにした。

「やっぱり、誰かいた♪
私はね。小嶋陽菜だよ。
その声って♪もしかして大島優子ちゃん?」

「な、なんで私の名前知ってんだよ」

優子は慌てて柱の影に隠れる。

「やっぱりそうだったんだ
だって優子ちゃん学校で結構有名だよ」

「有名か…
入学式の時目立ったからな
そんであんたも私を狙いに来たのか」

「ち、違うよ
陽菜は散歩してて、この神社に人がいるのが見えて覗きに来ただけだよ」

小嶋は慌てて身振り素振りで否定した。

「そんなに必死になるなよ」

優子の声のする場所からは優子の愛想のない声ではなく笑い声が聞こえる。

「あっ!優子ちゃん笑った♪」

「笑っちゃ悪いかよ」

優子の口が尖る。

「だってさっきから無愛想だったんだもん」

「あぁ…そっか…」

篠田に負けてから落ち込んでいた自分が小嶋と話していて自分の気が楽になっていたのに気付いた。

「ねぇ、もっと近くで話さない?」

「いや…いいよそこで…」

また無愛想になっていたことには気付いていた。
でも自分が傷だらけなことは気づかれたくなかった。

「あれ、優子ちゃん
ケガしてるじゃん
もしかしてまたケンカしたの?」

「えっ!…あ、うん…」

突然背後に髪の長い少女が現れ驚き言い返すのを忘れ素直に返事してしまった。
一瞬誰かわからなったしかしすぐに理解した。小嶋だと。

「ちょっと待ってて、陽菜よくケガするから絆創膏持ってるんだ」

そう言うと小嶋はカバンを漁り始める。

「そんなのいらねえよ
こんくらい舐めとけば治るって」

「ダメだよ!
女の子は顔が命なんだからちゃんと手当てしないとね」

小嶋は消毒液を取り出しガーゼに染み込ませると傷口に当てる。

「いたっ!」

「我慢してよ!」

今度は絆創膏を取り出しぺたりと優子の頬に花柄の絆創膏を貼り付けた。

「はい、終わりっ」

手当てを終えると小嶋が優子の横に座る。

「小嶋はよ
よくケガするって言ったけどさ、どうしてそんなにケガするんだ?
やっぱりドジか?」

「まぁ…それもあるけど…」

「それもあるけど?」

優子は首を傾げて尋ねる。

「……」

「どうした?」

小嶋の顔を覗く。

「学校で暴力振るわれるの…
パシリとして…
だから傷が絶えなくてね
でも陽菜は大丈夫だよ」

小嶋は無理矢理笑顔を作る。

「じゃあ今度から私が守ってやるよ」

「えっ!本当」

「本当だよ
絆創膏を張ってくれたお礼もあるし、今日は小嶋のおかげで元気出たしな。
そう言えば小嶋はケンカ強くないのになんでマジ女に入学しようと思ったんだ?」

しかし返事は返って来ない。
小嶋の体重が優子にのしかかる。

「小嶋?」

小嶋を見ると小嶋は気持ち良さそうに優子に寄りかかり眠っていた。

「寝てんのかよ!
おーい。小嶋こんなところで寝ると風邪ひくぞ」

優子は小嶋を揺すり起こそうとするが小嶋は起きる気配がなかった。

「しょうがない
送っていくか」

小嶋を壁に寄りかからせ立ち上がった。

「いっっ…た…篠田の野郎もう少し手加減しても良かったんじゃねぇかよ」

ため息をつきながらポケットから携帯を取り出す。

「さっき散歩って言ってたよな…
ということは多分この近くだし…
花の家この近所だし知ってるかな」

携帯を耳に当てる。
繋がった。

「もしもし花
なんでお前今日先に帰ってんだよ
えっ?私が寝てたから待ちくたびれて
そうかごめん、ごめん
用はこれじゃなくて小嶋ってやつの家知らねえか?
えっ!知ってるのか!
今は神社にいるけど…
すぐ近くだな
わかった。ありがとう。
今度ジュース一本おごっやるよ」

携帯を閉じると小嶋を見つめた。

「幸せそうな寝顔してんな、こいつ」

優子は小嶋を背負い神社を出た。



…………………………………………
2ヶ月ぶりの更新です
感想お願いします
山椒姉妹の相手、マユゲの豹変。
そして石田と戦闘で苦戦していたライスにダンスの助っ人。
この2つの出来事で2種類の意味で2階は戦況が変わろうとしていた。
その頃、1階ではプロレスの覆面をした生徒が3人現れトワイライトの生徒を次々と倒していた。

「思うんだけどさ
なんで顔を隠す物がプロレスの覆面なんだよ
バンダナとかマスクは無かったのかよ」

「ダメでしたか?
プロレスの覆面すごくかっこいいじゃないですか」

「別にいいんだけどさ…
なんか変じゃん
この服装と合ってないしさ…」

「ああ言われてみれば……」

「あんたたち!
そこで油売って尺を取るのはいくない!
ちょっと手伝いないさいよ!」

「なんであたしらがあんたの手伝いしないといけないんだよ」

「言っておくけど今日あたしたちは見てるだけなんだから基本は手出さないの」

「それにこれはお前が仲間になるかのテストなんだからちゃんとやれよ」

相手を3人に取られたギャルサーの生徒たちはぼさっと覆面を被った3人を見ている。

「お前らそんなとこでぼさっとしてないで二階に行けよ
それともあたしたちの相手する?」

「え、遠慮します」

そう言うとギャルサーの生徒たちは二階に向かった。

「それにしてもなんで前田はあたしらにこんなことさせるんでしょうね
昨日はアニメに断られたのに…」

「さあね
あたしだってあいつの考えることなんてわからないよ
分かる方が難しいけどな」

そう言うと携帯を開いて少しいじる。

「じゃあ、あとはよろしく」

「姉貴どこ行くんですか?」

「ちょっと用事だよ
あとで報告するからちゃんと見とけよ
ついでにそいつが苦戦してたら手貸しといて」

「分かりました」

「そんじゃよろしく」

そう言うと手を振り1人その場を立ち去って行った。





「もう終わり?」

自分の手を見つめるマユゲの周りにはらぶたんとまなまなが苦しそうに横たわっている。
そこから1メートルしたところには倒れているみゃおの姿。

「つまらない…弱くて…」

マユゲはふてきされながら倒れてるらぶたんを蹴飛ばす。

「弱いって言うな!
まだ私は負けてない」

みゃおは痛む体を起こすと大きな声を出し、力いっぱい拳を振る。
しかしみゃおの拳が届く前にマユゲの拳がみゃおの顎を捉える。
みゃおは仰け反ると後ろに倒れそのまま意識を失った。

「やっぱり弱い」

マユゲはご機嫌に意識の無いみゃおを馬乗りになり殴り続ける。

「やめろよ!」

その声はジャンボだった。

「ジャ、ジャンボ…」

らぶたんが苦しそうに呟く。
ジャンボは駆けるとマユゲの顔を殴る。
殴られたマユゲは床に転げる。

「らぶたんとまなまな
こいつ端に寄せてやんな」

ジャンボの指が指したのは気を失ったみゃおだった。

「あぁ…わかった」

「それよりこいつさっきと雰囲気違わないか?」

今度は床に倒れて笑っているマユゲを指差す。

「なんか自分の血を見たら急に可笑しくなって…」

「そして私たちは瞬殺ってわけ
言っとくけどこいつそれくらいすごく強いから」

「なんかそれってゲキカラさんに似てるよな」

「ふははははっは…」

「えっ!?」

「ジャンボ、どうした?」

「いやなんでもない、今なんかゲキカラさんの笑い声がした気がしてさ」

「そいつの声じゃないの」

らぶたんはまだ倒れて笑ってるマユゲを指差す。

「いや、違う
そいつじゃない
ちゃんとゲキカラさんの声だった
気のせいかな…」

「そうなんじゃないの?」

「話、終わった?」

さっきまで床に倒れてたマユゲがらぶたんの後ろに首を傾げ立っている。

「らぶたん!
後ろっ!」

まなまなが叫んだが遅かった。
マユゲは力強くらぶたんを殴ると今度はまなまなを見て駆けた。
まなまなは先制されまいとマユゲに少し遅れ駆け拳を振った。
しかし結果は他の2人と同じ、あっさりとやられてしまった。

「キャハハ
山椒姉妹弱~い
今度はジャンボが相手?」

マユゲは首を傾げジャンボを見た。

「そうだよ
わりぃかよ!」

叫びながらマユゲに向かって駆けた。
手が届く範囲まで間合いが詰まると右手のストレートを出す。
拳は空を切り、顔に痛みを感じる。
今度は右足を飛ばす。しかし足はマユゲ右足で弾かれ腹を蹴られる。
ジャンボはお腹の痛みに耐えながら後ろに下がり間を取った。
顔を上げるとマユゲがいなくなった。
背後から感じる殺気。
とっさに後ろを振り向くと顎を殴られ気付いた時は床に倒れていた。

「ジャンボの負け
ははははっ…」

ジャンボは体に力を入れて立ち上がろうとしたが体に力が入らなかった。
軽い脳震盪を起こしていて体がいうことをきかなかった。
また負けた…。
そんな不甲斐なさを感じながら意識が遠のいていく。

「ふははははっ
ねぇ怒ってる?」

霞む意識の中。またあの笑い声が聞こえてきた。