「フィッシュストーリー」 極々一部の地域で公開中


2012年、地球に彗星が衝突するまで数時間前の日本。

彗星の衝撃波で起こる津波から逃れるために

人々は少しでも高い場所を目指して逃げ出し、

住宅地は閑散としていた。

未来を諦めた男・谷口はひとり街中を

電動スクーターに乗って進んでいた。

そこで谷口はある看板を見つけて驚いた。

こんな世紀末的状況の中で

営業しているレコードショップがあったのだ。

中に入ってみると、店主と一人の男性客が

彗星の衝突のことなど全く知らないような雰囲気で

音楽について楽しく語り合っていたのだった。

「彗星が近付いているんだぞ!」と興奮する谷口に

「知ってますよ。」と平然と答える店主。

店主は一枚のレコードを見せて言う。

「この曲が世界を救うかもしれません。」と。

それは世間に認知されることなく解散したパンクバンド・逆鱗が

1975年に作った「フィッシュストーリー」という曲だった。

この曲をきっかけにいくつものストーリーが生まれ、

いくつものストーリーが知らず知らず絡み合っていく...。


原作は伊坂幸太郎の同名小説。

監督は中村義洋。伊坂作品は

「鴨とアヒルのコインロッカー」に続き2本目。

他にも「チーム・バチスタの栄光」や「ジャージの二人」、

「ジェネラル・ルージュの凱旋」などを手掛けている。

出演は伊藤淳史、高良健吾、多部未華子、濱田岳、

森山未來、大森南朋、渋川清彦(KEE)、大川内利充、

眞島秀和、江口のりこ、山中崇、波岡一喜、高橋真唯、

石丸謙二郎など錚々たる役者陣がそろっている。



観たのが今月上旬だったので、今上映しているところが

いつの間にか少なくなってました(^ ^;)ゞう

「重力ピエロ」にかかる感じで続くかと思っていたのに(- -;)

小説は強くても、映像作品の興行成績は

それほどでもないってことなんでしょうか?


内容はと言うと、伊坂幸太郎の十八番と言える、

いくつもの時間軸、物語から生まれる奇跡を描いています。

全く関係ないと思っていた、

いくつもの物語が最後に繋がる爽快感は

伊坂作品の醍醐味と言えるでしょう。

この方の作品はそういった観点からも

映像化が難しいとよく言われているようですが、

監督は「アヒルと鴨のコインロッカー」で

コツをつかんだのか、原作の意図を崩すことなく

上手くまとめられていたように感じました。

とは言え、“最後に全てが繋がる爽快感”は

やはり原作で感じたものの方が圧倒的に凄かったですが。

見せ場はそれぞれありますが、

森山未來がシージャック犯を次々と倒していくシーンは

爽快で胸がすっとしました。

コメディエンヌ・多部未華子も和ませてくれました。

濱田岳は相変わらずの貧弱な感じで

イライラさせてくれました( ̄m ̄*)

そんな彼だからこそ重要な役割を果たすこととなるのですが。

誰も欠けてはいけない運命、

誰も欠けることがなかったから生まれた奇跡を

わかりやすく観ることができました。

原作を読んでない方でも楽しめます。

原作を読んでない方の方が楽しめるかも。


パンクバンド・逆鱗の楽曲は斉藤和義さんが

この映画のために提供したもので、

とても素晴らしいものとなっていました。

小説では文字でしか感じることができなかった曲が

ひとつの音楽として流れ込んできました。

バンドが歌ってるシーンは最高でした( ̄▽ ̄)b



案山子の独り言

(C)2009「フィッシュストーリー」製作委員会