「ホルテンさんのはじめての冒険」 公開中
北欧ノルウェーの首都オスロの線路沿いのアパートに暮らす
ホルテンさんはノルウェー鉄道の運転手。
毎日規則正しい生活を送ってきたホルテンさんも
とうとう67歳の定年を迎え、40年間務めた運転手を辞めることに。
退職の前夜、運転手仲間がひらいてくれた
送別会に出席したホルテンさんは翌朝に備えて二次会を
断ろうとしたが、誘いを断れずに同僚のアパートへ。
しかし、タバコがきれていることに気づき
近くの店まで買いに行くことに。
再びアパートの前にやってきたホルテンさんは
教えられた玄関の暗証番号を押すが、
全く反応がなく、玄関は一向に開く気配がない。
しかたなく、アパートの外側に張り巡らされた
改装工事用の足場を使い、最上階の同僚の部屋を目指すことに。
ところが、最上階まで足場は作られておらず、
一つ下の階の部屋に窓から侵入し、
音をたてないように、廊下を通って玄関を目指すホルテンさん。
しかし、その家の子供に気づかれ、引き留められてしまい、
寝るまでそばにいてほしいと懇願されてしまう。
その子が寝るまでと傍らに座ったホルテンさんも
いつの間にか寝てしまい、気づけば外は明るくなっていた。
急いで駅へ向かうホルテンさんだったが、
たどり着いたときにはすでに時遅し。列車がちょうど出たところだった。
呆然と走り去る列車を眺めていたホルテンさんは
心配そうな同僚の声を背中に歩き始める...
監督はベント・ハーメル。「卵の番人」や「キッチン・ストーリー」、
「酔いどれ詩人になるまえに」などを手掛けた。
主演はボード・オーヴェ。「ガートルード」や「ヨーロッパ」、
「デュカネ 小さな潜水夫」などに出演。
他にビョルン・フローバルグ、ギタ・ナービュ、
エスペン・ションバルグ、ヘンニー・モーアンなど。
真面目一筋で生きてきたホルテンさんの
1秒の狂いもない時計のような人生。
そんな彼がよりによって最後の日に遅刻してしまい、
そのことをきっかけに彼の中で何かが起こる。
規則正しく、生真面目に生きてきたホルテンさんが
いろんな人に出会い、いろんな体験をしていき、
心の奥底に秘めていた思いに向き合っていく。
今は老人ホームに入り、自分の顔も覚えていない母親が
自分に託した思いに相対していく姿に“青春”を感じました。
大きな波が次から次へと起こるような作品ではありませんが
絵にかいたような堅苦しいほどの真面目振りの
ホルテンさんの行動にはクスッとさせられます。
笑っちゃいけないけど、大真面目が故に
笑ってしまうシチュエーションが次々と起こります。
北欧ならではの珍事件もあったりして。
ご覧になったときの反応が半減してしまうので
詳しくは言えませんが、凍った坂での出来事は
事実に基づいているらしいです( ̄m ̄*)
そして、運転手ならでは激励にも笑わせてもらいました。
大きな爽快感が得られる作品ではありませんが、
北欧ならではの(?)ゆったりした時間の流れと
人の持つ何気ない温かさを感じられる作品でした
決して大きなインパクトはありませんが、
なんとなく忘れられない作品になる気がします。