「英国王 給仕人に乾杯!」 たぶんまだ公開中


1963年、プラハの共産主義監獄から出てきたヤン・ジーチェ。

15年の刑期が恩赦によって、14年と9ヶ月に短縮してラッキー♪

「私の幸運はいつも不幸とドンデン返しだった。」と語る彼の

ホテル王になるという夢は、ソーゼージ売りから始まった。

時は彼が駅の売り子だった1930年代へと一気に遡る。

彼の趣味は小銭をばらまいて、それを必死になって拾う

紳士淑女をこっそり影から見ること(- -;)

駅の売り子の後、レストランの給仕として働く彼のヤン。

しかし、禁止されていた娼婦と過ごした夜がばれて辞めるはめに。

レストランを訪れた名士の紹介で高級娼館のウェイターの職を手にする。

その館は軍の将軍をはじめ、各界の重鎮が訪れるところ。

チップも驚くべき金額で、あろうことかオーナーよりも

たくさんのチップをもらってしまい、またもや辞めるはめに。

次に彼が働きだしたのは、プラハで最高のホテル・パリ。

その一階にあるレストランの給仕として働くことになった。

そんな折、ナチスのズデーデン侵攻でチェコスロバキアは

ドイツに占領されていまい、街中をドイツ人が闊歩していた。

レストランの客層も今までは毎日のように来ていた富裕層から、

ナチスの軍人たちへと様変わりしていく。

そんなある日、ヤンはプラハの若者に襲われていた

ドイツ人女性を助け、運命の出会いを果たすのであった...


原作はチェコの小説家ボフミル・フラバルの

小説「僕はイギリス国王の給仕をした」。

監督はイジー・メンツェル。「スイート・スイート・ビレッジ」や

「つながれたヒバリ」(ベルリン国際映画祭金熊賞受賞)、

「10ミニッツ・オールダー イデアの森(のうちの一本)」などを手掛ける。

出演はイヴァン・バルネフ、オルドジフ・カイゼル、

ユリア・イェンチ、マルチン・フバ、マリアン・ラブダなど。

ユリア・イェンチは「白バラの祈り ゾフィー・シェル、最期の日々」や

「ベルリン、僕らの革命」、「ヒトラー ~最期の12日間~」

などで注目される。


めちゃくちゃ笑える作品ではありませんが、

細かい笑いで当時を風刺して、なかなか楽しめる作品です。

同時に情勢やチェコの人々の生活を垣間見ることもできます。

かなり脚色されているところもあるかと思いますが。

オープニングから音楽がとても軽やかで

楽しくなるようなリズムでした。
そんな飛び跳ねたくなるような軽やかなリズムとはうらはらに

共産主義の世界やナチスの侵攻など、

激動の時代を風刺をこめて少し真面目に、

少し可笑しく面白く描かれています。

一見その世界を受け入れているようで、

実は風刺をたっぷり織り交ぜて描いており、

心地いい皮肉と言ったところでしょうか。

背が小さいことを気にしている主人公が

次々と出世(?)していく姿は小気味いいです。

思わぬところでいい思いをする主人公の人生も

見ていて全く飽きさせません。

それと同時に不幸なことも起っちゃいますが(^ ^;)ゞ

主人公の周りには、多くを語らない登場人物も出てきますが、

その行動で気持ちが伝わってきて

黙っているからこそ、余計笑えたりします( ̄m ̄*)

なんか動きが変な人もいたりして

ホントに重箱の隅をつつくような笑いが多いです。

かと思えば、時間軸は1963年と過去が交互に出てきて、

老人になった主人公が過去の自分に問いかけるような

真面目なシーンも出てきたりして、

ホントの幸せとは何なのかを考えるきっかけになるかも☆

思いのほかエロいシーンが多いので、そういうのを

不快に感じる方にはお勧めしませんが。


駅のホームでソーセージを買ってくれたお客さんに

お釣りを渡せなかった(渡さなかった?)

シーンをよく覚えておいてください。

と言われるまでもなく印象的なシーンでしたが。

このシーンがいろんなところでつながってきます。

思い出しただけで笑えてきます( ̄m ̄*)ププッ



案山子の独り言
(C) フランス映画社