「ブーリン家の姉妹」 2008年公開
16世紀のイギリス。
ブーリン家には二人の娘と息子が一人いた。
賢い姉・アンと優しい妹・メアリーは年頃になり
メアリーはかねてから決まっていた
裕福な商人との結婚を果たす。
妹に先を越された姉・アンは
父親と叔父が考えたある計画にのることを決める。
ブーリン家に二日間滞在する
イングランド王ヘンリー8世の相手をして、
息子ができない今の王妃に変わって
王の情愛を受けられるように仕向けようというものだった。
ブーリン家に来た王にはアンのみを紹介し、
王はメアリーの存在にすら気付かなかった。
滞在中に行った狩りで谷へ一人向かったアンを
追って行った王は落馬してしまい、
体だけでなく、そのプライドも傷ついてしまう。
そしてブーリン家での王の看病にあたったのがメアリーであり、
周りの目論みをよそに、王は彼女のことを
気に入ってしまったのだった...。
監督はジャスティン・チャドウィック。母国イギリスにおいて
数々の作品を制作し、エミー賞やゴールデンブローブ賞のノミネートも。
劇場用映画はこれが初作品となる。
出演は姉・アン役にナタリー・ポートマン。
妹・メアリー役にスカーレット・ヨハンソン。
ヘンリー8世にエリック・バナ。
二人の叔父役にデヴィッド・モリッシー。
母役にクリスティン・スコット・トーマス。
やっと観ましたー。劇場が日比谷だったので、
なかなか足を運ぶ機会がなくて...。
王室のドロドロ振りを堪能してまいりました。
そのドロドロ振りたるや、呆れちゃうぐらいのものです。
自分の目的を果たすために、妹さえも犠牲にして突き進む姉。
そんな姉に困惑し反発しながらも、絆を大切にする妹。
そして、王妃が子供を産めないと知ると、
他の女性たちに目移りして、情事を重ねていく王。
個人の意志よりも家の、そして血筋の意志が尊重される世界。
男子の世継ぎが必要なのはわかりますが、
伝統を守っていくことへの狂信的とも言える人の怖さを感じました。
実際はメアリーの方が姉で、アンが妹だったようですが、
姉を思う妹という設定の変更は正解だったようです。
ナタリー・ポートマンもスカーレット・ヨハンソンも
素晴らしい演技を見せてくれました。
貴族社会で生きていく女性の思いが痛いほど伝わってきます。
S.ヨハンソンの愛おしむような優しい眼差しもいいですが、
N.ポートマンの様々な思いを秘めた目力は凄いです!
パないです!(☆_☆)
(C) 2008 Columbia Pictures Industries, Inc. and
Universal City Studios Productions LLLP and GH Three LLC.
All Rights Reserved
女性を地位と名誉を得るための道具としか
思っていない叔父を演じたデヴィッド・モリッシーも見事でした。
また、兄や夫に反対しながらも、どうすることもできずに
ただただ娘や息子を思う母親役のクリスティン・スコット・トーマスの
演技からも、この世界の不条理を強く感じました。
あくまでもこちらから見ての不条理ですが。
(C) 2008 Columbia Pictures Industries, Inc. and
Universal City Studios Productions LLLP and GH Three LLC.
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そして姉妹の弟役を演じている俳優に見覚えがありました。
観ているときは結局出てこなかったのですが、最近レンタルで観た
「ラスベガスをぶっつぶせ」の俳優・ジム・スタージェスでした。
(C) 2008 Columbia Pictures Industries, Inc. and
Universal City Studios Productions LLLP and GH Three LLC.
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いろんな意味で問題作・「美しすぎる母」に出ていた
俳優・エディ・レッドメインも出てます(これは事前に知ってました)。
これからが期待できそうなお二人でした。
(C) 2008 Columbia Pictures Industries, Inc. and
Universal City Studios Productions LLLP and GH Three LLC.
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フランスでいろいろなことを学んで生きる術としたアンは、
作中では2ヶ月行っていたとなっていますが、
実際は10代のほとんどを外国で生活していたそうです。
2ヶ月という期間が短いなと感じていましたが、これで納得。
劇中のそこかしこで、こちらから見ると
「すごいことが起こったなぁ」と思っても、
本人たちが意外とあっさりしてたりするのは、
そういう時代だったということんでしょうね。
何より驚いたことは、英国がローマ(法王)との決別、
キリスト教会から離れた理由がここにあったことです。
その後のイングランド国教会の成立と、
カトリック教会の解散、反対した僧侶たちの処刑、
“ブラッディ・メアリー”や清教徒革命(聞いたことある!)などなど。
これらの発端が一人の女性の要求だったとは。
その当時の方々も想像できなかったでしょうね。
キャラクターやストーリーも魅力的でしたが、
衣装や風景も素晴らしかったです。
サテン(?)の光沢を嫌になるほど見せつけられました。
写実的な絵画を思わせる景色も、
「劇場で観て良かった~。」です( ̄◇ ̄)b
異議があってもここにはツッコミ入れないでください。
何卒<(_ _)>