「ブタがいた教室」 2008年公開


小学6年生を受け持つことになった新任の星先生は

ある日、突然学校に連れてきた。生後2ヶ月の子豚を。

星先生は6年2組の26人の生徒に向かって言った。

「みんなでこの豚を育てて食べましょう。」と。

“命”について肌で感じてもらおうという、

星先生のこの考えに教頭は驚き戸惑ったが、

“自分たちで責任を持って育てる。”

“近隣の住民に迷惑をかけない。”

“親御さんにはきちんと説明する。”

という条件付で校長先生の許可がおりた。

生徒たちは喜び、子豚に名前を付けようと言い出す。

星先生は気が進まなかったが、

子豚には「Pちゃん」という名前が付けられた。

校庭の隅に手作りの小屋を作り、

残飯を集めたり、排泄物を片付けたり、

雨の日は駆けつけて小屋が飛ばされないようにしたり、

星先生と26人の子供たちの献身的な努力で

「Pちゃん」はすくすくと成長していった。

そして、いよいよ「Pちゃん」を食べるか食べないかという、

避けて通れない問題に直面することになった星先生と生徒たちは...。


監督は前田哲。「陽気なギャングが地球を回す」や

「ドルフィンブルー フジ、もういちど宙(そら)へ」などを手がける。

出演は星先生に妻夫木聡。「ウォーターボーイズ」で

一躍有名になり、その後数々の映画やドラマに出演している。

他に原田美枝子、大杉漣、田畑智子、池田成志、

戸田菜穂、大沢逸美、近藤良平、ピエール瀧、清水ゆみ、など。


動物が出てくると大概泣いちゃう私はやっぱり泣きました。

一番ではありませんが、ブタは好きな動物のひとつということもあり。

作品の中でもそうでしたが、この行為には賛否両論あって当然です。

私自身、わざわざここまでする必要があったのかな?

という思いが全くなかったと言えば嘘になります。

映画の中の星先生の言葉を借りて言うのならば

このことに正解はないのではないかと思います。

実際にPちゃんをどうするか決めるときには、

当たり前ですが、生徒の意見はそれぞれ異なり、

一触即発のムードにもなったりもします。

議論をしているシーンでは、なんと7台ものカメラを使って

生徒たちひとりひとりの表情をくまなく捉えており、

まるでドキュメンタリーを観てるような錯覚さえ覚えました。

そして、最終的に二つの案に絞られます。

下級生に預けて少しでも長く生きてほしいという意見と、

初めに決めたとおり食肉にするという意見とに。

しかし投票の結果は同数で、その度に議論が繰り返されます。

それは小学生ということを忘れてしまうような白熱したものでした。

中にはドキッとさせられる言葉もありました。

なぜ?と質問されたら答えに戸惑ってしまうような。

初めから食べると決めていたのだから、

議論することさえおかしいと思う方もいるかもしれません。

しかし、生き物を飼っていれば当然愛着がわいてきます。

名前を付けることを禁止したとしても、

自然と名前は生まれたことでしょう。

愛着があるものに名前を付けるのは

生き物に限ったことではありません。

しかし、名前を付けると、離れられなくなるのが

人間という生き物ではないかと思います。

今まであまり自覚していなかった“名前が持つ力”を

感じずにはいられませんでした。

そして“人間は生き物を食べて生きている”という

当たり前のことをはっきりとしたかたちで知りました


全く関係ないんですけど、NHKのサラリーマンNEOの

サラリーマン体操に出ている方が出演されていて、

それに気づいたときなんかうれしかったです。

ホントに関係なくてすいません<(_ _)>



案山子の独り言

(C)2008「ブタがいた教室」製作委員会