「ハッピーフライト」 2008年公開
次のフライトでキャプテン(機長)から合格をもらえれば、
今のコーパイロット(副操縦士)から晴れてキャプテンに
昇格できるという運命の日を迎えた鈴木和博は、
担当のキャプテンが優しい人だからと安心していた。
しかし、そのキャプテンが風邪をひいてしまい、
急遽代わりのキャプテンに変更となってしまった...。
CA(キャビンアテンダント)の斉藤悦子は
今までの国内線勤務から一転、国際線デビューの日を迎えた。
のはいいが、今回のチーフパーサーが
厳しいことで有名な山崎麗子だと当日の朝まで気付かなかった...。
グランドスタッフの木村は仕事に不満を抱えながらも
上司に上手く逃げられ、なかなか辞められずにいた。
後輩・吉田美樹はいつもあっけらかんとして、
自分の気持ちも知らずに平気でトラブルを持ってくる...。
整備士の中村弘樹は飛行機の轟音にかき消されて、
先輩・小泉賢吾の指示が聞き取れずに
スタートバブル交換の作業に取り掛かってしまう...。
今日こそオンタイムで飛び立てるとホッとしながら、
菜採と美樹がパイロットたちに手を振っていると...。
監督は矢口史靖。「裸足のピクニック」や「ひみつの花園」、
「アドレナリンドライブ」を経て「ウォーターボーイズ」や
「スウィングガールズ」で一躍その名を知られることとなった。
出演は田辺誠一、時任三郎、綾瀬はるか、寺島しのぶ、
吹石一恵、田畑智子、平岩紙、田山涼成、田中哲司、森岡龍、
岸辺一徳、肘井美佳、宮田早苗、長谷川朝晴、いとうあいこ、
笹野高史、菅原大吉、ベンガル、中村靖日、江口のりこ、
小日向文世、森下能幸、柄本明、木野花、竹中直人などなど。
「20世紀少年」以来の錚々たるメンバーがたくさん出ており、
ひとりひとりの解説は割愛させていただきます。
“1980便”羽田発ホノルル行きB747-400。
約570名の乗客を乗せた飛行機が飛び立つまで、
そして飛び立った後に起こったアクシデントに、
空港の職員であるパイロット、キャビンアテンダント、
グランドスタッフ、オペレーション・コントロール・センター、
整備士、管制官など様々な役割の人々が
対応していく姿をそれぞれの視点から描いた作品。
一言で言えば面白くて、お得な映画だと思います。
大まかなストーリーは珍しいものではないと思いますが、
ひとりひとりのキャラクター設定がしっかりされているから、
ひとつひとつの行動がよりリアルに感じられました。
現実はもっと緊迫したものなのかもしれませんが、
映画という作り物としては面白さもやはりないとね。
そういった意味での表現方法は見事だと思います。
この監督のキャラクター設定は、いつも作品に
ある種の深さを持たせているように感じます。
予告では綾瀬はるか演じるCAが主人公のようでしたが、
この物語の主人公は飛行機や空港に関係している
全ての人々なんだなと気付かされました。
空港で働く人々、空港を利用する人々、
いろんな人々のそれぞれの思いと技術が集まって、
あの大きな鉄の塊を飛ばしているんだと実感できました。
綾瀬はるかさんや田辺誠一さん、その周りの役者さんは確かに
素晴らしかったのですが、個人的には田畑智子さんや
平岩紙さん(劇団「大人計画」所属)のような、地味だけど
ひとクセもふたクセもあるような役者さんに目がいってしまいました。
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