「パリ、ジュテーム」 2007年公開


パリ20区のうち18区を舞台にした、

それぞれ約5分間でつづるオムニバス作品。


ある日のセーヌの河岸。
悪友が通り過ぎる女性に見境なく声をかけるのを

見ていた青年は、そばで彼らの行動を笑っていた

アラブ女性に心奪われる。

彼女が立ち去ろうとしたとき、石に躓いて転んでしまう。

罵倒する友人を尻目に助けに行く青年。

少しの会話の後、彼女はモスクへと行ってしまった。

それからしばらくして、モスクの前に

佇む青年の姿があった...。

(第2話「セーヌ河岸」)


幼い息子を亡くした母親は彼のベッドの上で

悲観にくれながら、息子がよく話してくれた

カウボーイの話を呪文にかかったように繰り返していた。

その夜、彼女の耳に息子の声が聞こえる。

息子の声を追うように外へ飛び出す母親。

だが、息子の姿はどこにもなかった。

そこへ、馬に乗ったカウボーイが現われ、

「どうしても息子に会いたいか?」と聞いてきた。

彼女が何度もうなずくと...。

(第8話「ヴィクトワール広場」)


パリへ観光にやってきたアメリカの中年女性。

2年間学んだフランス語を駆使して、

彼女がパリで体験したことを語っていく。

憧れのパリで彼女が知ったこととは...。

(第18話「14区」)


世界中の名だたる監督がパリの

各区を舞台として描いた18の物語。

監督には、ブリュノ・ポダリデス、グリンダ・チャーダ、

ガス・ヴァン・サント、ジョエル&イーサン・コーエン、

ウォルター・サレス、クリストファー・ドイル、イザベル・コイシュ、

諏訪敦彦、シルヴァン・ショメ、アルフォンソ・キュアロン、

オリビア・アサヤス、オリヴァー・シュミッツ、

リチャード・ラグラヴェネーズ、ヴィンチェンゾ・ナタリ、

ウェス・クレイヴン、トム・ティクヴァ、フレデリック・オービュルタン/

ジェラール・ドパルデュー、アレクサンダー・ペイン、

エマニュエル・ベンビイ。

以上。

キャストには、ギャスパー・ウリエル、スティーブ・ブシェミ、

ジュリエット・ビノシュ、ウィレム・デフォー、ニック・ノルティ、

マギー・ギレンホール、ボブ・ホスキンス、イライジャ・ウッド、

ナタリー・ポートマン、ベン・ギャザラ、ジーナ・ローランズ。

などなど。


パリのそれぞれの区で起こる、日常と非日常の物語。

現実のパリの姿もあれば、幻想の中のパリの姿も。

これからお互いを知っていくカップル。

もう終わりを告げようとしている夫婦。

これから結婚する予定のカップル。

クスリ漬けの女優とヤクの売人。

バックパッカーとドラキュラの女性。

女優志望の女性と盲目の男性。などなど。

国籍や年齢、性別も異なるいくつもの物語。

それぞれの出来事は大きな事件ではなく、

極めて小さい波ではあるが、いくつもの“これから”を

想像させる素晴らしい作品の連続です。

“ここ見たことある!行ったことある!”ような

見慣れたパリの風景もあれば、

“こんなところあったんだ!?”という、

観光では訪れないような街並みもあり。

いろんな“歩いてみたくなる風景”、

“行って見たくなる景色”であふれています。

人生のほんの一片でしかない物語だが、

だからこそ共感できるところがあり、

お気に入りの作品が見つけられるのではないかと。

一人でパリを旅したことのある方なら、

最後の作品はとても共感できて、

まるで自分の物語が描かれているかのように

感じてしまうかもしれません。


作られたが、外されてしまった2区(11区と15区)は

特典として販売されているDVDに入っているそうです。

2009年にはニューヨーク編となる、

「New York,I Love You 」が公開予定。