「クワイエットルームへようこそ」 2007年公開
フリーライターの佐倉明日香は、
別れた前の夫が自殺したことをきっかけに
多量の睡眠薬を服用して意識を失い、
精神科の病院へ強制入院させられた。
そこには様々な患者がいた。
食べたくても食べられない少女。
重度の拒食症で体重が35キロにまで落ちた少女。
お金に固執し、しつこく付き纏う元AV女優のおばさん。
同性愛の患者二人は常に一緒でイチャイチャ。
点滴をうたれる度にカロリーを消費しなければと
病院内を動き回る女性。などなど。
おまけに医師は見た目どう見ても
おっさんの同性愛な女医(?)
初めはそんな状況さえも飲み込めず、
どうして自分が精神科にいなければいけないのかと、
文句ばかりで受け入れられなかった明日香であった。
しかし、他の患者との接触の中で、
彼女に変化が訪れるのであった...。
監督は原作者である松尾スズキ。劇団「大人計画」の
主宰者であり、数々の映画にも出演している。
出演は、佐倉明日香に内田有紀。
患者に蒼井優、大竹しのぶ、中村優子、筒井真理子など。
看護婦にりょう、平岩紙(「大人計画」所属)など。
他に塚本晋也、庵野 秀明、徳井優など。
原作は芥川賞候補になった作品。
精神病棟という、なかなか触れにくいテーマに、
コメディ要素を取り込れてアプローチした作品。
表現も面白く、小さい笑いがそこかしこに。
内田有紀の、ある意味体当たりな演技は
なかなか響くものがあって、素直に
「上手いなぁ。」と感じさせるものがありました。
今まで避けていた、“自分を見つめる”という
ことに正面から向かう姿には心打たれます。
同じく患者役の蒼井優も迫真の演技で、
こちらもうならせるものがありました。
ストーリーは極めてわかりやすく、
ほぼ予想通りの展開ではありましたが、
テンポ良く進んでいくので長くは感じませんでした。
初めは自分がどうしてここにいるのか、
全く検討がつかず、何かの間違いだと
思い込みたかった明日香が、
変化していく様は安心して観られました。
またそれぞれの患者役の女優が、それぞれの病気を
自分の中で噛み砕いて、見事に演じているなぁと。
大竹しのぶや筒井真理子がなんか良かったです。
ただ、コメディ色があまりにも強すぎて、
実際の精神科はこんな感じではないだろうなぁと、
いつもの悪いツッコミ癖が出てしまいました。
病院側からの患者に対するアプローチがほとんどなく、
治療と呼べるようなことはしていません。
患者同士を一緒に生活させて、事件が起きないように
見ているだけという印象を受けました。
それに14日間という入院期間は短すぎるような。
実際はどうなんでしょうか?