「キングダム/見えざる敵」 2007年公開


サウジアラビア、リアドの外国人居住区で、

ある日銃撃によるテロが起こり、

休日の野球大会を楽しんでいた

石油会社の職員やその家族が殺された。

この事件の調査を現地にいる同僚であり、

友人でもあるフランから頼まれた

FBIのフルーリー捜査官。

しかし、銃撃の犠牲者が運ばれ混乱する中で

追い討ちをかけるように自爆テロが起こり、

またもや多数の犠牲者が出てしまった。

そして、その中にはフラン捜査官の名前もあった。

必死の交渉で何とか現地入りを切望する

フルーリーであったが、アメリカ最大の

石油輸入元でもあるウジアラビアは、

弱みを見せまいと国外の捜査入ることを拒否してきた。

フルーリーはマスメディアの力を借りて、

何とか現地に入り捜査を行うことを実現させる。

しかし、サウジアラビアの軍や警察は、

FBI捜査官たちを快く思っておらず、

彼らの監視の元で行動は制限され、

犯人を突き止めるどころか、ろくに証拠も集められない状況で

捜査は難航するのだった...。


監督はピーター・バーグ。「コップランド」や

「ハンコック」などを手がけた他、「コラテラル」や

「スモーキンエース/暗殺者がいっぱい」などに出演もしている。

キャストは「レイ」でアカデミー賞主演男優賞を

受賞したジェイミー・フォックス。

「パール・ハーバー」や「エレクトラ」などのジェニファー・ガーナー。

「アダプテーション」でアカデミー助演男優賞を

受賞したクリス・クーパー。などなど。


舞台は同時多発テロ以降のサウジアラビアで、

テロの首謀者はサウジアラビア人という設定。

サウジアラビア人全てがアメリカ人を嫌うわけではなく、

一部のサウジアラビア人がFBIに協力しながら

捜査を進めていき、首謀者までたどり着く。

アメリカ人もサウジアラビア人もその国に住む

一人の人間であり、家族があり、友人がある。

ということは痛いほど伝わってきました。

ただ、テロリスト以外のサウジアラビア人の

イメージを払拭できるようなところまで描けているか?

と言われたら首をかしげてしまいます。

やはりアメリカ資本で撮った作品だなと感じさせてしまう。

またいくら映画とはいえ、サウジアラビアにおいて

女性の捜査官が捜査を行うという設定は、

相手の文化を考えず土足で入り込んできたと

思われてもしょうがないかもしれません。

中東では、女性は家にいて夫と子供のために

働くものだという考えが根強いのです。

男性に関しても同じようなことが言えます。

日本の自衛隊は中東に入る際、隊員に髭を生やさせたそうです。

それは中東の国において、髭の生えてない男性は

男性であって男性ではなく、まだ子供だという認識があるからです。

まあ、この辺はハリウッド映画にはありがちなことだと、

何卒こらえて最後まで観てください。

ラストでは世界の前に立ちはだかる大きな壁を感じることになります。

アメリカ人とサウジアラビア人、どちらも同じことを思い、

いつかまた起こるであろうテロを予感させるシーンは、

悲しいことではあるが、これが現実なのかなと。

不謹慎ながら、ハッピーエンドで終わらなかったことに

少しホッとしました。この作品がハッピーエンドで終わったら、

それは世界に対する大きな嘘になるので。